お子さまの体調や発達に合わせて、自宅で専門的なサポートを受けられるのが「小児訪問看護」です。病院への通院が難しいお子さまや、退院後も継続的なサポートが必要なご家庭にとって、心強い存在です。
この記事では、小児訪問看護の対象者や受けられるサービス内容、利用するメリットをわかりやすく解説します。
信頼できる小児訪問看護ステーションの選び方も紹介しますので、ぜひ、お子さまに合ったステーション選びの参考にしてください。
小児訪問看護を利用しながら、日中の支援や療育の場として通所施設を検討するご家庭も増えています。 イクデンを活用して、お子さまに合った療育施設を検索してみましょう。
小児訪問看護とは?対象年齢・料金の目安・制度を解説

小児訪問看護とは、病気や障害を持つお子さまが安心して生活できるように、看護師などの専門職が自宅を訪問し、医療ケアや生活支援をおこなうサービスです。
地域の医療・福祉サービスの一環として位置づけられ、療育施設や病院、かかりつけ医と連携して提供されます。利用希望者は医療ソーシャルワーカーや主治医に相談したうえで、訪問看護ステーションの利用が開始できます。
サービスを利用できるのは、0歳~18歳未満の方が対象です。
こちらの章では、小児訪問看護の対象疾患や料金の目安、利用者数の推移、需要が高まる背景を詳しく解説します。
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小児訪問看護は発達障害も含まれる?対象疾患を解説
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料金の目安と利用できる制度
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小児訪問看護の利用者数は増加傾向
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小児訪問看護の需要が高まる背景
小児訪問看護は発達障害も含まれる?対象疾患を解説
小児訪問看護では、主に以下のような疾患を持つ方が対象です。
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小児がん
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先天性疾患
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出生時障害による脳性麻痺
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発達障害
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自閉症
たとえば、NICU(新生児集中治療室)に長期入院した後、人工呼吸器や胃ろうを使用している場合や、痰吸引、経管栄養など日常的な医療ケアが必要な子どもが対象です。このように、継続して医療的なサポートが必要なお子さまを「医療的ケア児」と呼びます。(※1)
また、近年では、発達障害や自閉症のお子さまへの訪問看護も可能です。生活リズムの安定や情緒面のフォロー、ご家族へのサポートもおこないます。
(※1)発リンク: 医療的ケア児について|厚生労働省
料金の目安と利用できる制度
小児訪問看護は、医療保険制度が適用されるサービスです。医療保険の場合の自己負担は、原則として以下の通りです。
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義務教育前:2割負担
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義務教育開始後:3割負担
医療保険を利用するには、主治医が訪問看護の必要性を認め、訪問看護指示書を発行してもらうことが条件です。
月額料金の目安は、以下のとおりです。
週3回の訪問:約5,000円~
週4回の訪問:約6,000円~
※施設や身体の状況によって異なります。
さらに、病状やケアの内容に応じて、長時間訪問看護・緊急訪問看護・特別管理指導などが加算されます。
また、国や自治体によって、次のような制度が利用できます。
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育成医療費助成制度
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育成医療療育費助成制度
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小児慢性特定疾患医療費助成制度
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重度障害者医療費助成制度
お住まいの地域の自治体に相談して、利用できる医療制度を確認しておきましょう。
小児訪問看護の利用者数は増加傾向
小児訪問看護を利用するお子さまの数は、年々増加傾向です。厚生労働省の「訪問看護療養費実態調査」によると、利用者数の推移は以下のとおりです。
年齢別 | 2011年度 | 2023年度 |
0~4歳 | 1,301人 | 4,604人 |
5~9歳 | 884人 | 2,854人 |
10~14歳 | 665人 | 2,559人 |
15~19歳 | 617人 | 2,440人 |
0~19歳合計 | 3,467人 | 12,457人 |
上記の結果から、現在の利用者数は1.2万人を超え、2011年の利用者数と比べて約3倍に増加しており、医療的ケアや支援を必要とするお子さまが増えていることがわかります。
発リンク: 「2011年訪問看護療養費実態調査」|厚生労働省
小児訪問看護の需要が高まる背景
小児訪問看護の利用者数が増えている背景には、いくつかの要因があります。まず、低出生体重児の増加や新生児死亡率の減少により、医療ケアが必要な新生児や乳児の在宅生活を支えるニーズが高まっています。
これは、高齢出産や不妊治療による妊娠の増加も一因です。また、以前は入院が必要だった子どもが、小児がん治療の進歩やその他医療技術の向上により、在宅ケアが可能になったことも需要拡大につながっています。
さらに、共働き家庭の増加により、日中に子どものケアを行うのが難しい家庭が増えている点も、小児訪問看護の重要性を高める要因の一つです。
小児訪問看護ではどんなサービスが受けられる?

小児訪問看護では、主に以下のようなサポートが受けられます。
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医療ケア
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日常生活のケア
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発達トレーニング・リハビリテーション
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地域生活への移行支援
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家族への指導とサポート
それぞれのサポート内容を具体的に解説します。
医療ケア
訪問看護師は医師の指示に基づき、お子さま一人ひとりに必要な医療ケアを実施します。具体的な医療ケアは、以下のとおりです。
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人工呼吸器の管理
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痰の吸引
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経管栄養(胃ろう)や点滴の管理
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投薬管理
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バイタルサインの測定
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各医療機器の点検・管理
また、保護者に対して医療機器の使用方法の説明もおこない、在宅での生活がスムーズに送れるようサポートします。
日常生活のケア
入浴や食事、排泄など日常生活に必要な支援もおこないます。たとえば、人工呼吸器を装着したままの入浴など、保護者だけでは対応が難しいケアも含まれます。
お子さまの成長は早く、成長段階に合わせたサポートが必要です。そのため、保護者に対しても日常生活の介助方法を共有し、一緒にサポートできる体制を整えています。
発達トレーニング・リハビリテーション
施設によっては、理学療法士や作業療法士、言語療法士などの専門職によるサポートも可能です。以下のような支援を通して、お子さまの成長を支えます。
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運動発達のサポート
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呼吸リハビリ
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発音練習
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食事のトレーニング
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発音の練習、吃音に対する支援
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読み書き障害へのサポート
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摂食評価・指導
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口腔ケア
遊びや運動を用いてリハビリテーションを行うため、楽しみながら成長へ促す工夫をしています。
地域生活への移行支援
利用者の状況に合わせて、小学校入学の手続きや障害者手帳の取得など地域生活への移行支援も可能です。退院時のサポートでは、近隣の医療機関と連携しながらケアを進めます。
さらに、地域社会との関わりを深めるため、地域のイベントや学校行事への参加支援が受けられる点も魅力です。障害者や医療ケア児が地域で孤立せずに、安心して生活できる環境づくりにつながります。
家族への指導とサポート
小児訪問看護では、お子さまへのケアだけでなく、家族への指導やサポートも大切な役割の一つです。子どもの病気や障害について医療の立場から詳しい情報を提供し、家族の理解を深めます。
また、の育児や看護の悩みも相談できるため、病気や障害を抱える保護者の精神的な負担を軽減できます。
小児訪問看護を利用する5つのメリット

小児訪問看護を活用することで、専門的なサポートを受けながら安心した生活が維持できます。ここでは、児童訪問看護を利用する5つのメリットを解説します。
①慣れ親しんだ環境で安定した生活ができる
②子どもの成長に合わせたサポートが受けられる
③施設や入院費用のコストを抑えられる
④家族の負担が軽減できる
⑤地域とのつながりを保てる
①慣れ親しんだ環境で安定した生活ができる
訪問看護では、お子さまが住み慣れた環境で治療やケアが続けられるため、安定した生活ができる点がメリットです。病院などの特別な環境では、ストレスを感じるお子さまもいるでしょう。
ご自宅で家族と一緒に過ごすことで、お子さまのストレス軽減にもつながります。
NICUから退院し、訪問看護を利用したお子さまの体験談をご紹介します。
NICUから退院したばかりで、ケアに慣れなくて毎日大変だったけれど、子どもに声をかけながら手際よくケアやお風呂をしてもらって子どもも心地良さそうでした。看護師さんに遊んでもらえて楽しそうでした。誰にも相談できないことも聞いてくれるのも心強いです。いつも安心してお願いできます。
②子どもの成長に合わせたサポートが受けられる
病気や障害を持つお子さまは、成長にともない身体の状態が変化しやすいのが特徴です。呼吸器や消化機能の変化や、重症心身障害児の場合は二次障害を併発するケースもあります。
小児訪問看護は定期的な訪問を通じて常にお子さまの状態を把握できます。成長や変化に合わせた適切なサポートが受けられることも、訪問看護の大きなメリットです。
③施設や入院費用のコストを抑えられる
訪問看護師が定期的に自宅を訪問するため、医療機関への通院頻度を減らせます。交通費や付き添いにかかる時間的・経済的な負担を軽減できる点もメリットといえるでしょう。
④家族の負担が軽減できる
小児訪問看護では、家族の負担を軽減するレスパイトサービスも提供しています。レスパイトサービスとは、在宅で看護や医療的ケアを行っている家族が一時的に休息をとるための支援サービスです。
とくに、24時間の医療ケアが必要なお子さまを家庭で支える場合、保護者の身体的・精神的な負担は大きくなりがちです。レスパイトサービスを活用することで家族が自分の時間を確保できるため、心身の負担が軽減につながります。
レスパイトサービスの利用者の声をご紹介します。
・きょうだい児を遊びに連れて行くことができた。
・慣れている看護師さんがいてくれるので、本人も不安が少なくすんだ。
・家には普段使っているものがすべて揃っているので、準備が楽。
参照: 小児慢性特定疾病児童等レスパイト訪問看護事業|佐賀県
⑤地域とのつながりを保てる
地域とのつながりを保てることも、小児訪問看護を利用する大きなメリットです。お子さまを自宅で看護する生活は、どうしても家庭内に閉じこもり、孤立しがちです。
訪問看護師が地域の医療、福祉、教育機関と連携してサポートすることで、お子さまや家族も地域社会の一員として生活できます。同じ悩みを持つ保護者との交流の機会にもつながり、情報交換や支え合いを通して精神的な安心感も得られます。
小児看護ステーションを選ぶ際のポイント

小児訪問看護ステーションを選ぶ際は、以下のポイントを押さえておくとお子さまにあった事業所を見極めやすくなります。
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病院の退院支援を利用する
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ケア内容や医療機器への対応範囲を把握する
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事務所の所在地と訪問スケジュールを確認する
信頼できる小児訪問看護ステーションを選ぶポイントを解説します。
病院の退院支援を利用する
入院中のお子さまの場合、病院の「退院支援室」や「地域医療連携室」に相談すると、訪問看護への移行がスムーズです。これらの窓口を利用すると、自宅に必要な支援内容を整理したうえで、適切な小児訪問看護ステーションを紹介してもらえます。
入院中に手続きを進められるので、退院後に慌てる心配がありません。
ケア内容や医療機器への対応範囲を把握する
訪問看護ステーションごとに、対応できる範囲が異なります。事前に以下のポイントを確認しておくと安心です。
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対応可能な医療的ケアの内容(吸引・経管栄養・酸素療法など)
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小児や難病への対応経験があるか
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24時間対応体制が整っているか
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終末期ケア(ターミナルケア)への対応が可能か
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医療機器の取扱い実績(人工呼吸器、モニター、吸引器など)
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医師や病院との連携体制があるか
また、対応する看護師との相性も大切です。初回の面談や体験時に、お子さまやご家族が安心して話せる雰囲気かどうかを確認しておきましょう。
事務所の所在地と訪問スケジュールを確認する
ステーションごとに訪問エリアが決まっています。自宅への距離によって交通費の負担が変わる事業所もあるので、訪問スケジュールや費用面も合わせて事前に確認しておきましょう。
また、緊急時(夜間、休日など)の対応ができる事業所を選んでおくと安心です。
【エリア別】小児訪問看護ステーションを紹介

【東京都】【神奈川県】【大阪府】の中から、お住まいに近い訪問看護ステーションを探してみましょう。
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東京都
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神奈川県
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大阪府
それぞれのエリアの事業所と、サービス内容の特徴を紹介します。
東京都
東京都内の小児訪問看護ステーションを5つ紹介します。
事業所名 | サービス内容・特徴 |
・訪問エリア:東京23区+東京近郊 ・対象者:小児・障害児 ・訪問回数:週1~3回(30~90分) ・対応時間:平日9:00~18:00(土日祝は休み) | |
・訪問エリア:要相談 ・緊急時訪問看護(24時間体制) ・理学療法士・作業療法士・言語療法士によるアドバイス | |
・訪問エリア:東京23区 ・対象者:新生児~20歳 ・24時間365日対応 ・在宅レスパイトや医ケアバス同乗に対応可能 | |
・訪問エリア:東京23区 ・対象者:0歳~高齢者まで ・子どもの発達支援 ・緩和ケア・ターミナルケアの対応可 | |
・訪問エリア:板橋区・北区・足立区・荒川区・文京区・豊島区・葛飾区、練馬区の一部 ・重度身体障害者・重度心身障害者も可能 ・個別療育・リハビリ ・レスパイトケア |
神奈川県
神奈川県内の小児訪問看護ステーションを5つ紹介します。
事業所名 | サービス内容・特徴 |
・訪問エリア:横浜市内が中心 ・訪問日:9:00~17:00 ・緊急時24時間体制対応 ・療養上のお世話、診察の補助、リハビリテーションなど | |
・訪問エリア:横浜市全域 ・訪問日:月~金(9:00~18:30) ・対応時間:30~90分 ・気管切開管理、人工呼吸管理などの医療ケア ・緊急時の連絡支援、精神面のケア、かかりつけ医との連携 | |
・訪問エリア:要相談 ・対象者:年齢制限なし ・緊急時は24時間対応 | |
・訪問エリア:要相談 ・医療ケア児の看護 ・24時間365日対応 ・終末期看取り対応 ・精神科訪問看護対応 | |
・訪問エリア:要相談(※交通費無料) ・対象者:小児~高齢者 ・土日訪問の対応可 ・健康相談、リハビリにも対応 |
大阪府
大阪府内の小児訪問看護ステーションを5つ紹介します。
事業所名 | サービス内容・特徴 |
・訪問エリア:要相談 ・対象者:小児~高齢者 ・小児看護(NICU)経験のある看護師在籍 ・学習障害への関り、言語訓練による支援 ・感覚統合療法、お留守番看護 | |
・訪問エリア:要相談 ・対象者:0歳~12歳 ・訪問回数:週1~3回 ・医療ケア、日常生活援助、リハビリ、健康チェック ・お留守番看護、24時間の相談対応 | |
・訪問エリア:堺市・大阪市・和泉市など幅広く対応 ・対象者:主治医により必要と認めた方 ・訪問時間:9:00~18:00 ・小児に特化、退院後の赤ちゃんも可能 ・助産師、リハビリスタッフ在籍 | |
・訪問エリア:大阪市・堺市エリア中心(※その他エリア要相談) ・対象者:新生児~高齢者 ・24時間365日対応 ・小児看護、医療機器管理 ・臨床工学技士との連携 ・双子、三子、低出生体重児、お預かり看護 | |
・訪問エリア:堺市・和泉市・高石市など(※要相談) ・対象者:小児専門 ・医療的ケア、発育チェック、身の回りのお世話、産前、産後支援、成長発達のサポート ・長時間のお預かりサービス ・退院支援 |
小児訪問看護を利用する流れを5ステップで解説

小児訪問看護を利用する際の流れを、5つのステップで解説します。
1.主治医や医療ソーシャルワーカーに相談
小児の訪問看護を受けるには、医師の指示が必要です。主治医や医療ソーシャルワーカーに相談します。
2.訪問看護指示書の発行
医師により訪問看護の必要性が認められれば、訪問看護指示書が発行されます。
3.訪問看護事業所との面談・契約
お子さまに合った事業所を選び、面談を経て契約に進みます。面談ではお子さまの状態や治療内容、家庭環境などを細かく聞き取ったうえで、訪問看護の計画を立てます。
4.訪問看護の開始
訪問看護が開始され、看護師が定期的に自宅に訪問し適切なサポートをおこないます。
5.定期的な評価・見直しを実施
訪問看護が開始された後は、定期的な評価や見直しを実施します。
重心・医療ケア児の支援に強い施設を見つけるならイクデンをご利用ください

小児訪問看護は、住み慣れた自宅で医師の指示に基づき、看護師から医療や生活支援を受けられるサービスです。さまざまな障害を持つお子さまの生活を支えるだけでなく、ご家族の負担も軽減できます。
小児訪問看護と支援施設を組み合わせた活用により、お子さまの成長や生活能力を多方面からサポートできます。小児訪問看護を活用して、お子さまの成長を温かく支えていきましょう。
重心・医療ケア児の支援に強い施設を探すなら、ぜひ イクデンをご利用ください。
イクデンでは重心・医療ケア児に対応できる施設を、お住まいの地域から効率的に検索できます。ご利用者の口コミも確認できるので、複数の施設を比較しながらお子さまに合った支援が見つかります。
小児訪問看護と福祉サービスを上手に活用しながら、お子さまの可能性を広げていきましょう。
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