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重症心身障害児の療育活動とは?家庭・施設・医療でできる支援例を紹介

重症心身障害児の療育活動とは?家庭・施設・医療でできる支援例を紹介

重症心身障害児にとって療育活動は、心身の安定や生活の質を保つための重要な役割を果たします。そのため、お子さんのために家庭でも療育活動を取り入れたいと考える保護者は多いでしょう。

医療的ケアを要する重症心身障害児に向けた療育活動をする場合、お子さんが医療機器を身につけていることや安全面の不安から、どのような療育活動であれば安心・安全に取り組めるのか知りたい方もいるはずです。

本記事では、療育活動の目的・基本方針についての解説と具体的な療育活動の例を紹介しています。

医療体制が整った療育施設を選ぶ際のポイントにも触れているため、重症心身障害児の療育について知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。


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重症心身障害児における療育活動とは?目的と基本的な考え方を解説

重症心身障害児には移動・食事・排泄など生活面の介助が必要で、言語的コミュニケーションが困難という特性があります。そのため、重症心身障害児における療育活動では子どもの反応や表情から状態を理解し、安心できる関わり方を考えることが重要です。

本来、療育は発達の成長や自立を目的とした支援を指しますが、重症心身障害児における療育では、発達の成長を促すだけでなく、心身の安定や生活の質の維持を重視する傾向があります。

重症心身障害児の療育活動には家庭・医療機関・療育施設が連携し、一人ひとりに適した支援の積み重ねが大切です。

ここでは、重症心身障害児の療育活動を実践する前に理解しておきたい、療育活動の基本方針と医療的配慮のポイントを解説します。

出典:遊び、こどもらしさ、保育|厚生労働省

安全と楽しさを両立させる療育活動の基本方針

重症心身障害児の療育活動では、お子さんの体調や環境の変化を細かく丁寧に観察しながら、安全性を最優先に進めることが基本です。

基本とすべき安全性を踏まえたうえで、体の感覚や感情の成長を促す活動を行い、子ども自身が達成感や楽しさを感じられる工夫を取り入れましょう。

心身に無理のない範囲で、子どもの笑顔や反応を最大限に引き出す工夫や活動が、次の活動への意欲や信頼関係を育てる基盤となります。

活動を始める前に確認したい医療的配慮のポイント

安全と楽しさが両立した療育活動のためには、医療的配慮への意識も大切です。

活動を始める前には、当日の子どもの体調を確認しながら、普段と異なる様子や気分の落ち込みがないかをチェックしましょう。

重症心身障害児には人工呼吸器・経管栄養チューブ・喀痰吸引など、日常的に医療的ケアを必要とする医療的ケア児も含まれます。医療的ケア児の場合、活動中に医療機器が外れたり壊れたりしないように配慮が必要です。

看護師や家族と情報を共有し、安心して活動を始められる環境を整えることも重症心身障害児における療育活動の基本となります。

重症心身障害児でも安心して取り組める療育活動の具体例

「安心して取り組める療育活動」と聞いても、具体的な療育活動を連想するのは難しいでしょう。

ここでは、重症心身障害児が安心して取り組める活動を以下の具体例とともに紹介します。

  • ①感覚あそび(触覚・視覚・聴覚)で反応を引き出す

  • ②音楽活動(歌・リズム・楽器)で情緒を育てる

  • ③ポジショニング(姿勢調整)で呼吸を安定させる

  • ④コミュニケーション支援(スイッチ・視線入力)で意思を伝える

  • ⑤1日の流れ(午前・午後)で活動を上手に組み合わせる

①感覚あそび(触覚・視覚・聴覚)で反応を引き出す

感覚あそびは、触覚・視覚・聴覚などの五感を刺激する活動です。

具体的には、ボール状にしたスポンジを掴む、音が鳴るおもちゃを握る、壁や天井に光を投影するといった遊びが挙げられます。

自分で体を動かすことやほかのものに触れる機会が少ない重症心身障害児にとって、触覚や視覚などの五感を使う感覚あそびは新鮮さを感じられるでしょう。

光・音・素材の違いを活かした感覚あそびを通して、さまざまな感覚を体験していくうちに苦手な感覚や得意な感覚に触れたときの反応に違いが出てきます。

感覚あそびでは結果を比べるのではなく、どの刺激にどう反応するかを観察して子どもの理解に努めましょう。

②音楽活動(歌・リズム・楽器)で情緒を育てる

歌やリズム遊び、楽器に触れる音楽活動も、安心して取り組める療育活動の一つです。

音楽活動には体の緊張をほぐしてリラックスさせる効果が期待できるため、活動を重ねるなかで情緒が育ちやすく、活動への安心感も生まれます。

流れている音楽やリズムの変化に合わせて体を揺らしたり、楽器を鳴らしながら音色に耳を傾けたりする遊びは、子どもの反応を引き出すのに効果的です。

ただし、突然の大きな音や低音域・高音域に不安や不快感を持つ子どももいます。音を出す場合は少しずつ音量を上げたり、音の高さを変えたりしながら、子どもの表情や感情の変化を観察しましょう。

③ポジショニング(姿勢調整)で呼吸を安定させる

肢体不自由や医療機器によって行動が制限される重症心身障害児にとって、体位や姿勢を整えるポジショニングは積極的に取り入れるべき療育活動です。

一人ひとりの筋骨格の特徴に合わせたポジショニングは、過度な筋緊張を改善し、体の疲労や痛みの軽減、安定した呼吸につながります。

ほかの療育活動を行う場合も、内容に合わせて子どもが最も楽に呼吸できる姿勢を見つけると、活動の集中力や意欲の向上に効果が期待できます。

④コミュニケーション支援(スイッチ・視線入力)で意思を伝える

言語的コミュニケーションが難しい重症心身障害児も、スイッチや視線入力装置を活用すると自分の意志を伝えられるようになります。

簡単なルールのゲームやお絵描きを楽しめる視線入力装置では、ゲームの操作やお絵描き中の目線の動き方の観察によって、子どもが何を見てどのように考えたかを読み取ることが可能です。

スイッチや視線入力装置によって意志を可視化できると、一方向のコミュニケーションが双方向に変わるため、周囲への興味関心・自信・意欲成長などの効果を期待できるでしょう。

⑤1日の流れ(午前・午後)で活動を上手に組み合わせる

重症心身障害児の療育活動は、心身にさまざまな刺激を与える一方、過度な活動や組み合わせ方によっては、大きな疲労やストレスの原因にもなります。

1日を通して複数の療育活動を取り入れる場合、子どもの体調や集中力の変化に合わせた活動計画が大切です。

疲労が蓄積しておらず集中力も高い午前中は、感覚あそびのように強い刺激を受けやすい活動を行い、午後はポジショニングや音楽遊びなど落ち着いて過ごせる活動に切り替えましょう。

目的や刺激の強さに応じた無理のないリズムで1日の流れを整えることが、安心して過ごせる環境づくりにつながります。

重症心身障害児向けの療育活動を家庭で取り入れる3つのポイント

家庭で療育活動を取り入れる際は、子どもも保護者も無理なく続けることを大事にしてください。

以下の3つのポイントを押さえて、安心して続けられる療育活動を実践していきましょう。

  • ①在宅あそび(感覚刺激)で家庭でも楽しく続ける

  • ②家庭環境を整えて安全に活動できるスペースをつくる

  • ③家庭での記録(観察・メモ)で子どもの変化を見守る

①在宅あそび(感覚刺激)で家庭でも楽しく続ける

家庭における療育活動では「楽しく続ける」をモットーにしましょう。

療育活動を行う際は子どもの体調や状態を確認し、活動を行うのに向いている状態かを確認します。

感覚遊びや音楽遊びは、家庭でも簡単に取り入れやすいおすすめの活動です。季節の草花に触れたり、風船・新聞紙・アロマなどの身近な素材を使ったりした簡単な遊びであれば、準備の手間もかかりません。

在宅あそびでの子どもの反応や変化を観察しておくと、遊びのなかで見せる反応の違いや表情の変化にも気づきやすくなります。

②家庭環境を整えて安全に活動できるスペースをつくる

療育活動を行うにあたって意識すべきポイントは、安全に活動できるスペースの確保です。活動内容に応じた動線や子どもの姿勢をあらかじめ考えてから、家庭環境を整えるようにしましょう。

チェックするポイントとしては、転倒や誤飲の可能性がないか、安心して体を動かせるマットの用意はあるか、照明の当たる位置や明るさは不安を感じさせないかなどが挙げられます。

安全で落ち着ける場所があれば、療育活動への集中力やリラックス効果が高まるでしょう。

③家庭での記録(観察・メモ)で子どもの変化を見守る

家庭で行った療育活動は、子どもの変化を見守るための大事な情報になります。そのため、活動の様子や反応は些細なことでもしっかりと記録に残しましょう。

記録に残す際にチェックするポイントは、活動中の子どもの様子・体調・反応の違いです。

残した記録は、同じ活動を行ったときの様子の変化や反応の違いと比較したり、家族や支援者に共有したりすると、活動内容の見直しや改善につながります。

日々の変化を見守っていくうちに、保護者も支援者も子どもの小さな成長や変化、サインを捉えられるようになり、子どもとの関係性がさらに深まっていくでしょう。

個別支援計画で療育活動の目標と記録をつなげる3つの方法

個別支援計画は、子どもに関わるすべての支援者が一貫した支援を提供するための重要な資料です。

療育活動の目標と記録をつなげる以下の3つの方法で、さらに質の高い支援を実現しましょう。

  • ①ICFの視点で支援目標と活動内容を整理する

  • ②学校や医療機関との連携で支援体制を整える

  • ③記録の共有と振り返りで次の目標づくりにつなげる

①ICFの視点で支援目標と活動内容を整理する

個別支援計画をもとに療育活動の目標と記録をつなげるためには、ICF(国際生活機能分類)の枠組みを用いた支援目標と活動内容の整理が効果的です。

 ICFとはWHO(世界保健機関)によって採択された、世界共通の健康の構成要素に関する分類です。

具体的には「心身機能・構造」「活動」「参加」の要素を含む生活機能の分類と、それぞれに影響する「環境因子」「個人因子」を指す、背景因子の分類で構成されています。

そのため、個別支援計画では、ICFを構成する生活機能と背景因子の視点から、できること・環境・支援それぞれの支援目標を整理しましょう。

明確な枠組みのもと整理された支援目標があると、活動内容や目的の意図を共有しやすくなり、支援にも一貫性が生まれます。

出典:ICF(国際生活機能分類)|厚生労働省

②学校や医療機関との連携で支援体制を整える

療育活動の目標と記録をつなげるためには、学校や医療機関との連携も欠かせません。

学校や医療機関と療育施設は、学習面や医療面において配慮すべき点が重なる部分を持ち合わせています。個別支援計画で立てた支援の目的や方法に関して学校や医療機関の理解が足りないと、支援の一貫性は保てません。

連携不足による支援内容の不一致は、支援対象の子どもや保護者の混乱を招く恐れがあります。学校や医療機関と配慮が重なる部分は、情報共有と連携で支援体制を整えましょう。

出典:医療的ケア児とは|東京都福祉局

③記録の共有と振り返りで次の目標づくりにつなげる

療育活動に関する記録は、どんな記録もスタッフと家族で共有しましょう。

一度の活動では変化がなかった場合も、記録の共有と振り返りによって子どもの成長・変化・成果に気づける可能性があります。

また、記録の共有と振り返りは子どもの変化に気づくためだけではなく、個別支援計画の見直し・改善にも効果的です。浮き彫りになった課題や新しい反応の発見は、次の支援目標を明確にし、より質の高い支援の積み重ねにつながります。

医療・看護体制が整った重症心身障害児向け療育施設を選ぶ3つのポイント

児童発達支援や放課後等デイサービスのなかには、重症心身障害児の受け入れに特化した療育施設があります。

施設探しでは、生活面の介助や医療的ケアなどの不安要素を解消できる医療・看護体制が整った施設を以下の3つのポイントに沿って選びましょう。

  • ①医療体制(看護師常駐・医師連携)で安心して通える療育施設を見極める

  • ②施設見学(質問・チェック)で支援内容と安全性を確認する

  • ③緊急時対応や感染症対策など安全管理体制を確認する

①医療体制(看護師常駐・医師連携)で安心して通える療育施設を見極める

療育施設を選ぶ際に確認すべき点が、医療体制の充実度です。重症心身障害児を主な対象とする療育施設では、看護師・嘱託医の人員配置が児童福祉法で定められています。重心型施設では利用人数に応じて看護師1名以上の常勤が決まっているため、子どもを預けている間も安心です。

医療的ケア児の受け入れに対応している施設であっても、医療的ケア児が施設を利用しない日には看護師を配置しないケースもあるため、看護師が常勤か非常勤かは必ず確認しましょう。

また、喀痰吸引や吸入などの医療的ケアへの対応体制に明確なオペレーションが定められているかも確認が必要なポイントです。嘱託医との連携を含め、医療と福祉の連携や体制が整っている施設ほど、安心して療育活動へ参加できます。

出典:障害児通所支援事業所等における安全な医療的ケアの実施体制の構築に関する調査研究報告書|厚生労働省

②施設見学(質問・チェック)で支援内容と安全性を確認する

気になる施設の候補が決まったら、まずは施設見学に行きましょう。サービスや支援内容が魅力的でも、子どもが通いやすく安心して預けられる施設かどうかは実際に足を運ばなければわかりません。

施設見学では、支援内容と安全性の観点から施設設備、職員の対応、子どもたちの様子、表情、活動の雰囲気をチェックします。支援方針や医療的ケアの対応範囲については、以下のリストを参考に質問しましょう。

  • 個別支援の内容や進め方はどのように決めているか

  • 医療的ケアにはどのように対応しているか

  • 看護師や療法士などの職員体制はどうなっているか

  • 緊急時や体調変化時の対応体制はどうなっているか

施設を利用するうえで、気になる点や懸念点を直接スタッフに相談できるのも見学のメリットです。施設を決めるうえでの貴重な機会のため、不安な点は遠慮せず質問・相談をして判断材料を増やしましょう。

③緊急時対応や感染症対策など安全管理体制を確認する

医療的ケアの対応と併せて確認したいポイントが、緊急時対応や安全管理体制についてです。

子どもの突然の発作や体調急変時は、スピーディーな判断と対応のスムーズさが状況を左右します。そのため、緊急時の連絡手段や救急対応の流れ、過去に対応した事例がある場合は、当時の対処の流れを確認できると安心です。

また、感染症対策や衛生管理対策の取り組みが徹底されていると、施設内の感染拡大防止の効果も期待できます。

徹底された安全管理体制は、子どもと保護者が安心して施設を利用できる要素であり、信頼を支える基盤です。徹底した安全管理体制と管理意識の高さが、通所後の安心・安全につながるため、しっかりと確認しておきましょう。

重症心身障害児向けの療育施設をお探しの方はイクデンをご活用ください

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重症心身障害児の医療的ケアと療育活動を両立させる4つの工夫

重症心身障害児の医療的ケアと療育活動は、いくつかの工夫を取り入れることで負担のない両立が可能です。

以下の4つのポイントを踏まえた工夫で子どもの負担を最小限にし、長く楽しく療育活動を続けましょう。

  • ①医療的ケア後の活動で安全と安心を確保する

  • ②体調や反応の変化を観察して活動を調整する

  • ③看護師・療法士・保護者が連携して支援を一貫させる

  • ④活動後の休息とリカバリーで体調を安定させる

①医療的ケア後の活動で安全と安心を確保する

喀痰吸引や吸入などの医療的ケア後に療育活動を行う場合、活動を始める前に子どもの体調を確認しましょう。急な姿勢の変化や活動による刺激は避け、子どもの呼吸や表情の変化を観察してください。

体に負担がかかっていないか、体調に変わりがないかを確認したら、ゆっくりと療育活動を始めましょう。

体調の落ち着きを待つ時間や活動前に心を落ち着かせる時間は、子どもの意欲的な活動と取り組みへの安心感につながります。

②体調や反応の変化を観察して活動を調整する

療育活動に取り組んでいる間は子どもの表情や動きを細かく観察し、疲労や緊張のサインを見逃さないようにしましょう。

活動の進捗や取り組んだ時間は気にせず、子どもの体調や気持ちに応じて無理なく進めることが大切です。

体調や反応に気になる点がある場合は、その日の状態に応じて活動内容や時間を調整するなど、安心して取り組める活動で支援を継続させましょう。

③看護師・療法士・保護者が連携して支援を一貫させる

重症心身障害児の療育において、一貫性のある支援は非常に重要です。一貫性のない支援は子どもに混乱や不安を与えやすく、活動に対する前向きな気持ちや意欲をなくす要因になる場合もあります。

支援で子どもとの関わりを持つ看護師・療法士・保護者が、それぞれの情報を共有して支援の方向性をそろえましょう。

医療的ケアと療育活動を分断せず、一つとして考える連携によって、子どもが安心する支援体制が整います。

出典:重症心身障害児の支援の在り方について |厚生労働省

④活動後の休息とリカバリーで体調を安定させる

活動前に行う体調変化の確認と同じように、活動後にも体調の変化がないか必ずチェックします。

子どもの呼吸や脈、体温の変化を確認したら、しっかりと休息の時間を取りましょう。安静の姿勢や心を落ち着かせる静かな環境を整え、心身の回復を促してください。

療育活動を終えたあとに疲労を残さない工夫が、その後の活動への意欲向上や体調の安定につながります。

重症心身障害児の療育活動を日常の支援に生かしましょう

重症心身障害児の療育活動では、心身の安定や生活の質を保つことを重視しています。そのためには、子どもが楽しんで取り組めること、心身に負担がかからないこと、状況に応じて柔軟に進めることが大切です。

家庭でも安心して取り組める療育活動には、感覚遊びや音楽活動などが挙げられます。風船・新聞紙など身近な素材を使ったものは手軽に取り入れやすく、家庭での療育活動にぴったりな方法です。

療育施設検索サイト「イクデン」では、重症心身障害児を主な対象とする療育施設の情報も掲載しています。

施設ページでは、施設選びのポイントとなる在籍専門職や対応障害に関する項目のほか、安心して利用できる施設を探すために必要な情報を20の項目で詳しくまとめました。

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