子どもの発達が気になる保護者の中には「作業療法(OT)」の言葉を目にした方がいるのではないでしょうか。しかし、具体的に何をする場所なのかイメージができず、不安に感じることもあるでしょう。
療育の作業療法は遊びや日常生活の活動を通して、子どもが「できた」と達成感を味わい、心と身体の発達をバランスよく促します。手先の器用さからコミュニケーションまで、日常生活をスムーズに送るための土台作りをサポートします。
施設での支援だけでなく、家庭で何ができるかを知ることも、子どもの成長を後押しするために重要です。
本記事では作業療法で何をするのか、どのような効果が期待できるのかを解説します。子どもに合った施設選びのポイントや、家庭でできる取り組み例も紹介するため参考にしてください。
イクデンでは、作業療法に力を入れている施設を全国から検索し、比較検討できます。Web上で施設見学のお問い合わせもできるため、ぜひご活用ください。
療育における作業療法(OT)とは?

作業療法とは英語で「Occupational Therapy」といい、略してOTとも呼ばれています。
療育における作業療法は、子どもが日常生活を円滑に、豊かに送れるよう支援するリハビリテーションの一種です。
療育で行われる作業療法の「作業」は、遊び・学習・人との関わりなど、生活に関わるすべての活動です。発達障害の子どもが日常生活での困りごとを探り、一人ひとりに適した方法で、心と身体の発達を促します。
担当する作業療法士は、子どもにとって大切な活動である遊びの中で、過ごしやすく力を発揮しやすい環境を整えます。
発達障害の子ども向け|療育における作業療法の具体的な支援内容を紹介

療育の作業療法で行われている主な支援は以下のとおりです。
感覚・運動能力の向上
日常生活動作の習得
学習の基礎づくり
社会性の発達
環境の調整
具体的な活動例とともに詳しく解説するため、参考にしてください。
①感覚・運動能力の向上
感覚・運動能力の向上を支援するために、遊びを通して体を上手に使う土台を作ります。
発達に特性のある子どもは、感覚を過敏に感じ取ったり、逆に鈍感だったりする場合があるからです。
作業療法で行われる具体的な支援と目的は以下のとおりです。
具体的な支援内容 | 目的 |
・ブランコ ・トランポリン ・ボールプール ・積み木 ・パズル ・工作 | ・バランス感覚や全身運動を促す。 ・手先を使う遊びで微細運動能力を高める。 ・体幹や筋力、バランス感覚を育て、姿勢保持や集中力の向上につなげる。 |
感覚や運動能力が向上すると、動きや衝動が落ち着き、姿勢を保ちやすくなります。脳と身体を結びつけるためにも重要な活動です。
②日常生活動作の習得
食事や着替え、排泄など身の回りの動作は、子どもが自立するうえで必要不可欠です。
作業療法で行われる具体的な支援と目的は以下のとおりです。
具体的な支援内容 | 目的 |
・スプーンや箸の使い方 ・ボタンのかけ外し ・着替え ・歯磨き | ・身の回りの動作を自分で行えるように練習する。 ・自立した生活習慣を身につけ、自己肯定感や達成感を高める。 |
適切に声かけをしたり、環境を工夫したりして「自分でできた」といった喜びを育めると、自信をもって園や学校生活に臨めるようになるでしょう。また成功体験は、ほかの活動への意欲にもつながります。
③学習の基礎づくり
作業療法では、本格的な勉強に入る前に、遊びを通して学習の土台を育みます。
具体的な支援と目的は以下のとおりです。
具体的な支援内容 | 目的 |
・運筆練習 ・お絵描き ・型はめボード ・形合わせカード | ・就学に必要な基礎的スキルを遊びを通してサポートする。 ・学校生活へのスムーズな適応や学習意欲の向上を図る。 ・穴の形に合わせてピースを入れるなどを通して、図形認識を促す。 |
鉛筆を正しく使う練習をしたり、パズルで形を認識する力を養ったりして、学習に必要な集中力や目と手の協応性を高めます。
就学後の学校生活をスムーズにスタートできるよう、作業療法士がサポートします。
④社会性の発達
社会で生きるためには、コミュニケーションスキルが欠かせません。
療育の作業療法では、専門スタッフが見守る安全な小集団の中で、コミュニケーションの方法を具体的に学びます。
具体的な支援と目的は以下のとおりです。
具体的な支援内容 | 目的 |
・ボードゲーム ・お店屋さんごっこ | ・ルールを守ることや友だちとのコミュニケーションの取り方を学ぶ。 ・他者との関わり方を学び、協調性や思いやりの気持ちを育む。 |
たとえば、お店やさんごっこでは「貸して」「ありがとう」といった、簡単な言葉でのやり取りを通して相手の気持ちを想像する練習ができます。
友だちとコミュニケーションをとることで、社会で生きるために必要なスキルが育まれます。
⑤環境の調整
子どもが過ごす環境を調整し、持っている力を最大限に発揮できるよう支援するのも作業療法士の重要な役割です。
作業療法で行われる具体的な支援と目的は以下のとおりです。
具体的な支援内容 | 目的 |
・椅子や机の高さ調整 ・滑り止めマットの使用 ・イヤーマフの使用を提案 | ・家庭や学校で過ごしやすくなるようにアドバイスする。 ・不必要な負担や困り感を減らし、安心して活動できる環境を整える。 |
集中しにくい子どもには机の周りの刺激を減らす、聴覚が過敏な子どもには教室でイヤーマフの使用を提案する、など生活しやすい環境づくりを行います。
家庭や園・学校と連携し、活動への参加意欲を高めることでストレスが軽減され、子どもの安心感にもつながるでしょう。
発達障害の子どもが療育(作業療法)を受けることで期待できる効果

療育の作業療法によって期待できる効果は主に3つあります。
少しずつできることが増えて自己肯定感の向上・自信につながる
子どもの成長や専門家の支援を通して家庭の育児の負担が軽減する
友だちや周囲の人との関わり方を学べるので社会性が身につく
子どもの自信や意欲を育てると、家族の生活にもよい影響を与えるため、参考にしてください。
①少しずつできることが増えて自己肯定感の向上・自信につながる
作業療法では、子どもが少しがんばればできる課題を設定します。周りの子と比べて「できない」と感じる経験が多いと、子どもは自信を失いがちです。
難しいと感じていた動作であっても少しずつできるようになる体験は、子どもの自己肯定感を高め、新しい活動へ挑戦する意欲を引き出します。
前向きな気持ちになると家庭や学校での活動をより楽しくさせ、生活全体の質を向上させられるでしょう。
②子どもの成長や専門家の支援を通して家庭の育児の負担が軽減する
子どもの成長に加え、専門家から関わり方のアドバイスを受けると、家族の育児負担の軽減につながります。
療育では、なぜ癇癪を起こすのか、なぜ特定の行動を繰り返すのかなど子ども一人ひとりの特性を作業療法士が説明し、具体的な対応策を一緒に考えます。
行動の理由がわかると、保護者も子どもの発達に関する理解を深められ、肯定的な関わりができるようになるでしょう。
専門家にいつでも相談できる環境が整っているため、育児の悩みを一人で抱えずすむ安心感が生まれます。
③友だちや周囲の人との関わり方を学べるので社会性が身につく
作業療法は、言葉の発達だけでなく、気持ちの伝え方や相手の意図を汲み取る練習など、コミュニケーション全般も支援の対象です。
集団活動では、自分の要求を言葉で伝える、友だちの意見を聞くなど実践的なスキルを練習します。専門スタッフが子どもたちの間に入り、安全な環境で繰り返し練習を重ねると、対人関係における自信が身につきます。
コミュニケーションスキルは園や学校での友だち作り、円滑な人間関係を築くために重要です。
効果的な作業療法を受けるには子どもに合った療育施設を選ぶことが大切
療育の作業療法の効果を高めるには、子どもに合った施設選びが不可欠です。

療育施設を選ぶときは、支援内容や雰囲気だけでなく、以下の点から総合的に判断しましょう。
作業療法士をはじめ有資格の専門職が在籍しているか
子どもの特性に合わせて集団・個別などプログラムを選べるか
活動内容や日々の様子をこまめに報告・フィードバックしてくれるか
一緒に過ごす児童の年齢や状況が近いか
自宅や学校から近く、送迎があるなど通いやすいか
スタッフの対応が良く、親子で安心して通える雰囲気か
利用者や知人からの評判・口コミがよいか
作業療法の効果を高めるには、専門職による的確な評価とアプローチを受けられる施設を選ぶことが大切です。集団での社会性育成や個別での集中支援など、子どもの特性に合ったプログラムがあるとより安心できるでしょう。
さらに、活動の様子をこまめに共有してくれることで家庭でも支援が一貫し、年齢や状況が近い仲間と関われる環境は友だちづくりにもつながります。
通いやすさや雰囲気、専門スタッフ対応、実際の利用者からの評判も重要な判断材料となります。
お子さまに合った作業療法が受けられる療育施設選びには「イクデン」をご活用ください

子どもに適した療育の作業療法が受けられる施設を探すなら、掲載施設数8万件を誇るポータルサイト「イクデン」をご利用ください。
療育施設のページには送迎の有無や支援プログラムの内容、作業療法士などスタッフの専門資格といった詳細情報が記載されています。気になる施設をさまざまな条件で比較・検討できる点が特徴です。
実際に利用した保護者からのリアルな口コミも多数掲載され、施設の雰囲気や評判を事前に把握でき、安心してご利用いただけます。
都道府県からはもちろん、運動療育や作業療法などの特徴から希望の施設を探せます。Web上から空き状況の確認や見学の問い合わせも手軽に行え、施設探しの手間を大幅に削れるため、日々を忙しく過ごしている保護者にとっても便利です。
作業療法に力を入れている施設の掲載も豊富にあるため、ぜひご活用ください。
作業療法を受けるにあたって効果アップのために家庭でもできる取り組み例を紹介

療育施設での支援と並行して、家庭でも楽しく取り組める活動を取り入れると、作業療法の効果が高まります。
ここでは、手軽に試せるトレーニングを紹介します。
こまかい動作・指先のトレーニング
大きな動作・全身の協調性を上げるトレーニング
日常生活スキルの向上・感覚統合を目指すトレーニング
親子で楽しみながら挑戦してみましょう。
こまかい動作・指先のトレーニング
微細運動と呼ばれる指先や手首を細かく使う動きは、脳の発達と深く関わりがあります。着替えや食事動作といった日常生活における基礎を育みます。
たとえば、以下のような練習がおすすめです。
ペットボトルキャップ
つまみ
お箸で豆移し
ボタンはめ練習
紐通し
お箸で豆を移す遊びは、つまむ力と集中力を同時に養います。ボタンはめや紐通しは、両手を協調させて使う練習になります。
子どもが「楽しい」と感じる範囲で行い、無理強いしないことが大切です。
大きな動作・全身の協調性を上げるトレーニング
全身を使った動きは粗大運動と呼ばれ、すべての活動の土台です。大きな筋肉・体幹を使うことで、バランス感覚や姿勢保持、力加減の調整能力を養います。
家庭でできる全身を使った運動は以下のとおりです。
新聞紙ボール遊び
足でタオル寄せ
新聞紙を丸めたボールでのキャッチボールは、道具の重さや飛んでくる速さに合わせて身体を動かすよい練習になります。いすに座って足指でタオルを寄せる運動は、体幹を安定させ、足裏の感覚を育てます。
自分の身体の大きさ、動かし方のイメージを育むうえでも重要です。
日常生活スキルの向上・感覚統合を目指すトレーニング
日常生活での動きは子どもの発達を促すものが多くあります。
とくに、お手伝いは達成感を得ながら、視覚・触覚・聴覚など複数の感覚を統合的に使う優れたトレーニングになります。
日常の中で感覚統合を目指せる主なトレーニングは、以下のとおりです。
洗濯物たたみ
紙ちぎり・のり貼り
料理の手伝い
絵カード並べ
洗濯物をたたむ作業は手順を記憶し、手指を細かく使う練習になります。料理の手伝いで野菜を洗ったり混ぜたりすれば、水の冷たさや食材の感触など、多様な感覚を体験できます。
生活動作を通して得られる、家族の役に立った実感は子どもの自己肯定感を大きく育てるでしょう。
療育における作業療法とほかの療法との違い

療育にはさまざまな専門療法があり、それぞれ役割が異なります。
下表にて、ほかの療法との違いを紹介します。
療法名 | 主な支援内容 |
作業療法(OT) | 「生活活動」を通じて、手先の器用さや感覚統合、日常生活動作や社会性など応用的な能力を育む。 |
理学療法(PT) | 座る、立つ、歩くなど基本的な動作能力の獲得や改善を支援する。 |
言語聴覚療法(ST) | 言葉の理解や表現・発音・読み書き・食事の飲み込みなど、コミュニケーションと言語、嚥下を支援する |
心理療法 | カウンセリングや遊びを通して、情緒の安定や感情のコントロール、行動面の課題などを支援する。 |
作業療法は、理学療法や言語療法、心理療法と連携してさまざまな視点から子どもを支援します。生活全般の応用的な活動を支えるのが作業療法の大きな特徴です。
お子さまの発達障害の程度に合わせた作業療法を受けて親子で日常生活を楽しめるように!

療育における作業療法は、子ども一人ひとりの特性やペースに合わせた、オーダーメイドの支援を受けられる点が大きなメリットです。自己肯定感を高めながら、運動や感覚、日常生活の課題にきめ細かく対応します。
作業療法を受けることで得られる効果は以下のとおりです。
自己肯定感の向上や自信につながる
家庭の育児の負担が軽減する
社会性が身につく
子どもの成長ペースに合わせた作業療法が受けられる施設を探している方は、全国の療育施設情報を掲載しているイクデンをぜひご利用ください。
作業療法士が在籍しているか、プログラム内容に作業療法があるかどうかが記載されているため、検索しやすい特徴があります。
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