「授業中に座っていられない」「忘れものばかりで先生から連絡が来る」「お友だちとトラブルが起きて……」
学校でこのような指摘を受けて、心配になっている保護者も多いのではないでしょうか。
ADHD(注意欠如・多動症)は、集中しづらさや衝動的な行動、多動性が特徴の発達特性です。原因は脳の働き方であり、適切な支援や療育を受けることで学校生活や人間関係がぐっと過ごしやすくなります。
本記事では、ADHDの具体的な症状や療育の効果、療育を受ける方法などを細かく紹介していきます。お子さまにあった療育施設を選ぶチェックリストも掲載していますので、参考にしてください。
また、ADHDのお子さまに最適な療育施設をお探しの方は「イクデン」をご活用ください。イクデンでは約8万件の療育施設を、都道府県別や療育プログラムごとに検索できます。
ADHD(注意欠如・多動症)とは?小学生に見られる主な特徴を紹介

ADHDとは、集中の持続や静止の困難さ、考える前に行動してしまう、順番立てが苦手といった症状を有する発達特性です。決して珍しい特性ではなく学齢期の約3〜5%、女性より男性に多いとされています。
多くは幼児期からADHDの兆候が現れ、12歳あたりから次第に多動性や衝動性は弱まっていきます。しかし小学生ごろに特性が強く現れるため、集団生活や学習の場でさまざまなトラブルにつながりやすいです。
ここでは、ADHDの小学生に起こりやすい代表的なトラブルを紹介します。
学習面の課題|集中力や忘れものの多さ
学習に関する場面では、以下のような困難が挙げられます。
授業参加の困難:教師の説明を最後まで聞き続けられず、ほかのことに意識が向く
必要な道具を忘れる:教科書やプリントを持参し忘れる、課題の期限を忘れてしまう
時間管理の困難:課題にかかる時間を予測できない、締切に間に合わず慌てる
生活・行動面の課題|衝動性や友人関係のトラブル
普段の生活やお友だちとのやりとりでは、以下のような困難が挙げられます。
考えずに行動してしまう:頭に思い浮かんだことをすぐ声に出してしまう、相手が話している最中に割り込んで発言してしまう
待つことの困難:列に並んでいるときに前に出てしまう、順番を我慢できない
整理整頓の困難:学習道具を無くしてしまう、身の回りの整理整頓ができない
衝動的な行動から、「身勝手」「言うことを聞かない」と誤解されがちですが、お子さまの人格的な問題ではありません。適切な理解と療育支援で、改善が期待できる可能性があります。
ADHDに療育が有効な理由とその効果

「ADHDの療育には本当に効果があるの?」と不安に思う保護者も少なくありません。
たしかに、療育ではADHDをまったくゼロにはできません。しかし特性に応じた療育で注意力が高まるほか、多動性の軽減、人間関係スキル・自己肯定感の向上など、日常で感じている困難が和らぎます。
療育によって期待できる代表的な効果を紹介します。
学習習慣や自己管理を身につけやすくなる | 学習を小さなステップに分けて取り組む習慣や、集中時間を少しずつ延ばすことで学習意欲や自己管理力が育ちやすくなります。 |
社会性やコミュニケーション力が身に付きやすくなる | あいさつや感謝の言葉、グループでの協力など、対人関係を円滑にする力が向上します。また、相手の話を聞く・順番を守るなどコミュニケーション力の基礎も養っていきます。 |
自信を持って生活できるようになる | 小さな目標を達成し努力を認めてもらう経験は、自己肯定感の向上につながります。自分に自信を持って学習や日常生活に取り組めるようになります。 |
療育では「できないことを治す」だけではなく、お子さまが「自信を持って力を伸ばす」環境として大きな役割を果たします。
ADHDの小学生向け|療育で行われるプログラム内容の具体例

ここでは、ADHDのお子さまに向けた代表的な取り組みを紹介します。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)
学習支援プログラム
行動療法・自己コントロール練習
運動療法
ソーシャルスキルトレーニング(SST)
ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは人との関わり方や会話方法など、社会生活に必要なスキルを身につける練習方法です。
挨拶の練習:「おはようございます」「ありがとうございます」など、カードやイラストを使って学ぶ
待つ練習:おもちゃの貸し借りや遊ぶ時間を区切ることで、順番を守る力を育てる
仲間と関わる練習:「貸して」「一緒に遊ぼう」といった声かけや、その場を離れるときの伝え方を身につける
遊びや運動の中に取り入れることで、自然に社会性を伸ばします。
学習支援プログラム
集中が途切れやすいADHDのお子さまでも、学習を続けられるような取り組みを行います。
図や絵カードの活用:文字だけでなく、絵や図を用いて理解を助ける
歌やリズムで学習:九九や漢字をリズムや音楽にのせて覚える
体を動かしながら学習:立って音読したり、歩きながら暗記したりして全身を使う
じっと座らなくても取り組める方法から始め、少しずつ落ち着いて学習できる力を育てます。
行動療法・自己コントロール練習
衝動的な感情や行動をコントロールする方法を身につけます。
落ち着く方法の練習:「目をつぶって10まで数える」「深呼吸を5回する」など、具体的で実行しやすい練習を行う
問題の解決方法を学習:問題が起きたときの対応策を検討し、自分で選択する力を育てる
スケジュールの明確化:「10時は勉強、11時は遊ぶ」など、時間を区切って自己管理を学ぶ
自分で感情や行動をコントロールする力が少しずつ養われます。
運動療法
体を動かすことで、注意力や衝動性の改善を目指します。
音楽に合わせた体操:リズム感と集中力を同時に育てる
トランポリンやマットでの運動:全身を動かすことで脳を活性化し、衝動性を和らげる
チームでの運動:サッカーや鬼ごっこなど、ルールを守りながら楽しむことで協調性を養う
佐賀大学の研究によると、ADHDの約50%は「発達性協調運動症(DCD)」を併発するとされています。そのため、運動療法は運動が苦手なお子さまにも有効な支援です。
楽しみながら無理なく学ぶことで自然と集中力や社会性、自己管理能力を高めていきます。
療育を受けるには?ADHDの診断と相談の流れを解説

「子どもがADHDかもしれない」「療育を受けるべきか」と感じたら、まずは専門機関を受診して診断を受けることが必要です。ここでは、診断から相談の流れを解説します。
かかりつけの病院の小児科で診断を受ける
自治体の窓口や発達支援センターで相談する
補足・ADHDで療育手帳は取得できる?療育を受けるには必要?
診断|かかりつけの病院の小児科で診断を受ける
ADHDは小児科、小児神経科、児童精神科にて診断や意見書をもらいます。最初の相談は、お子さまの成長を普段から見ているかかりつけ小児科に相談するのが安心です。
受診時には、以下のものを持参すると診断がスムーズに進みます。
母子健康手帳
学校の連絡帳や成績表
普段の様子をまとめたメモ
また、診断の一般的な流れは以下の通りです。
保護者との面談
お子さまの行動観察
心理検査・発達検査の実施
総合的な診断
検査では、おもにアメリカ精神医学協会の「DMS-5」や世界保健機関(WHO)の「ICD-11」がよく使われています。
DMS-5では、「不注意」「多動性および衝動性」の2項目を検査します。12歳以前から発生し、なおかつ6ヶ月以上持続する場合はADHDと診断されることがあります。
ICD-11では条件はDMS-5と同じですが、不注意症状が大きく3項目、多動・衝動性症状が4項目にわかれているのが特徴です。
なお初診から診断まで数ヶ月かかる場合もあるため、気になるときは早めの相談が大切です。
相談|自治体の窓口や発達支援センターで相談する
診断を待つ間や、不安を一人で抱え込みたくないときには、地域の相談窓口も活用してみてはいかがでしょうか。
市町村の福祉窓口
発達支援センター
児童発達支援センター
児童相談所 など
上記の窓口では専門スタッフによる相談や、療育施設の紹介などさまざまなサポートを行っています。
また国が運営する「発達障害ナビポータル」では、ADHDを含む発達障害に関する情報が随時配信されています。信頼できる情報源として、あわせて参考にしてみてください。
補足|ADHDで療育手帳は取得できる?療育を受けるには必要?
療育手帳とは、知的障害のお子さまが障害福祉サービスを受けるための手帳です。
ADHDは発達障害に分類されるため、ADHD単独では療育手帳の取得は難しいのが現状です。
しかし、療育手帳がなくても「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」といった療育サービスは利用できます。
利用には通所受給者証が必要ですが、医師の診断書や意見書があればの申請が可能です。
ADHDの小学生が療育を受けるなら何歳から?始める時期と通所頻度の目安を紹介

ここでは、ADHDの小学生が「放課後等デイサービス」を利用する場合の開始時期と通所頻度の目安を紹介します。
小学校低学年からのスタートが望ましい
ADHDのお子さまが療育を受けるなら、小学校低学年からの開始がおすすめとされています。
放課後等デイサービスガイドラインによると、小学校低学年は以下の発達が進む大切な時期です。
日常生活の概念を学習する
係や当番といった社会的役割を担う
遊びが集団で行われる
本来お子さまが我慢する力は「5歳頃から伸びはじめ、8〜9歳頃に成熟する」といわれています。しかし、ADHDのお子さまは2~3年遅れた状態で発達するのです。
そのため、学習や集団生活が本格的に始まる段階で療育を取り入れることで、困りごとに早期に対応しやすくなります。
週2~3回の通所が多いが子どもに合わせて調整可能
令和元年度の調査によると、放課後等デイサービスの利用は月平均約12日(週2〜3回程度)が一般的です。
人間の脳は「2週間に3回以上繰り返した情報が長期的に定着しやすい」とされています。療育も同じく、週2回以上のペースで通うことで学んだことが身につきやすくなるでしょう。
ただし、通所頻度はお子さまやご家庭の負担にならないことが大前提です。無理のない範囲で継続できるペースで通うことが、長い目で見てもっとも効果的です。
ADHDの小学生が通える療育施設の種類と特徴

療育施設は大きく分けて公的機関と民間施設の2種類があります。それぞれに特徴とメリットがあるため、お子さまやご家庭の状況に合わせて選びましょう。
公的機関(療育センター・児童発達支援センターなど)
都道府県や市町村が運営する療育施設です。
メリット | デメリット |
・利用料金の負担が少ない ・発達支援に詳しい専門スタッフが常駐している | ・利用開始まで数ヶ月待つことがある ・月2回程度の利用に限られる場合がある |
民間施設(放課後等デイサービスなど)
民間企業やNPO法人が運営する、多様なニーズに対応した療育施設です。
メリット | デメリット |
・個別対応や柔軟なサービスが可能 ・運動療育、学習支援、SSTなど特定分野に特化した施設もある ・公的機関より待機期間が短いことが多い | ・費用負担が高くなる場合もある ・施設によって支援の質や専門性に差があるため、見学や口コミの確認が必須 |
ADHDのお子さまでも楽しく通える療育施設をお探しなら「イクデン」をご活用ください

ADHDの子どもに合った個別療育施設を探すなら、全国約8万件の施設情報を掲載しているポータルサイト「イクデン」が便利です。
各施設のページには、送迎サービスの有無や提供される支援プログラムの内容、スタッフが保有する専門資格など、比較検討に役立つ詳細情報がまとめられています。さらに、実際に利用した保護者の口コミも多数掲載されているため、施設の雰囲気や評判を事前に確認でき、安心して選択できます。
都道府県別はもちろん、プログラムの特徴や支援内容からも検索できる点が特徴です。
集中や段取りの練習を重視するなら個別療育の施設、多動・衝動のコントロールを高めたいなら運動療育の施設など、ADHDの子どもに適したサポートを受けられるところを効率的に見つけられます。
Web上で空き状況の確認や見学の申し込みができるのも大きなメリットです。希望するプログラムから療育施設を探せるイクデンを、ぜひ活用してみてください。
家庭でも実践できる!ADHDの小学生向け療育・支援のポイント

ADHDの療育は施設だけではなく、家庭での工夫も大きな力になります。毎日の生活に取り入れられる支援のポイントを紹介します。
小さな成功体験を積み重ねて自信を育てる
行動の手順を細かく決める
お子さまのペースで課題を進めて安心感を持ってもらう
小さな成功体験を積み重ねて自信を育てる
日ごろから自宅でお子さまの自信を育てることで、より前向きに物ごとに取り組めます。
よい行動を見つけたらその場ですぐに褒める
「よい点数だった」よりも「最後まで諦めずに取り組んだ」ことを評価する
「いい子だね」ではなく「自分から片付けできたね」と具体的な行動を褒める
行動の手順を細かく決める
日常生活のリスト化で、忘れものや手順の抜けを減らせます。
片付けの例:机を整理する→引き出しにしまう→学校用はランドセルに入れる
朝の身支度の例:顔を洗う→服を着替える→ランドセルの準備→朝食を食べる
お子さまのペースで課題を進めて安心感を持ってもらう
注意力が散漫なお子さまは、周囲と比較すると余計焦ってしまい失敗の原因となります。
兄弟姉妹と比較しない
ほかのクラスメイトと比較しない
過去の本人を比較する
焦りを抑え、安心感を持って取り組める環境をつくりましょう。
ADHDの小学生向け療育施設を選ぶ際のチェックリスト

療育施設選びは、お子さまの将来に大きく影響する重要な決断です。とはいえ、何を基準に選べばよいかわからない方も多いでしょう。
そこで、施設選びで後悔しないためのチェックリストをご用意しました。
項目 | 詳細 |
基本条件 | ・対象年齢・学年がお子さまに合っているか ・通所日数や時間が家庭の生活に無理なく合っているか ・自宅からの距離や送迎サービスの有無 ・利用料金や追加料金の有無 |
スタッフ・指導体制 | ・ADHDに関する専門知識や支援経験があるか ・保育士、臨床心理士、作業療法士などの有資格者がいるか ・スタッフとお子さまの人数比は適切か(安全面と個別対応の観点から) ・管理者や児童発達支援管理責任者の経験・人柄 |
プログラム内容 | ・個別支援計画が作成されるか ・学習・行動・社会性・身体面を総合的に支援しているか ・ADHDの特性に配慮したプログラムがあるか ・お子さまの興味や特性に合わせて調整してくれるか |
施設環境・設備 | ・清潔で整理整頓されているか ・安全対策(角の保護、危険物の管理など)がされているか ・教材や設備が整っているか ・トイレや手洗い場が清潔で使いやすいか |
コミュニケーション・連携体制 | ・保護者面談や懇談会があるか ・日々の様子を共有する仕組み(連絡帳、写真、動画など)があるか ・学校や関係機関との連携を取ってくれるか ・保護者からの相談に親身に対応してくれるか ・緊急時の連絡体制が整っているか |
なにより大切なのはお子さま自身が「通いたい」と思うかどうかです。条件が整っていても、本人が嫌がれば十分な効果は得られません。
見学や体験を重ね、お子さまが楽しみながら通えるか一緒に確認しながら決めていきましょう。
ADHDの小学生のお子さまに合った療育を理解してぴったりな施設を見つけましょう

ADHDは家庭でのしつけや育て方が原因ではなく、脳の働き方の違いによって表れる発達特性です。集中が続かない、衝動的に行動してしまうなどの困りごとから、学校や友人関係でつまずく経験も少なくありません。
しかし療育にて注意力や自己管理力を伸ばせば、社会性や自己肯定感を育てることは十分に可能です。家庭での工夫とあわせて、専門機関や療育施設を上手に活用してお子さまの力を伸ばしましょう。
子どもの注意力や衝動性について悩み、療育施設を探している方は「イクデン」をご活用ください。イクデンでは都道府県別で探せるほか、希望するプログラム内容からも施設の検索ができます。
サイト上で空き状況の確認や施設の口コミも確認できるため、保護者と子どもに合った療育を見つけられるでしょう。
また、イクデンでは無料で情報を掲載していただける児童発達支援・放課後等デイサービスの施設様を募集しております。施設の情報をより多くの保護者へ届けたいとお考えの施設担当者様は、ぜひ以下のページよりお問い合わせください。
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