ABA療育(応用行動分析療法)は、自閉症スペクトラム障害や発達障害のお子さまを支援する方法です。「行動を科学的に捉え、望ましい行動を増やす」手法として、多くの保護者や専門機関で採用されています。
一方で、デメリット・リスクはないのか、うちの子に合うかどうか自信がないと感じる方も多いでしょう。
本記事では、ABA療育の基礎知識から始め、具体的に考えられる6つのデメリット・リスクやその対策法を一挙解説します。
また、ABA療育のメリットのほか、費用比較や自宅実践の難しさ、施設選びのポイントまで含めて記載するので、最後にはご自身でABA療育の必要性についてより正確に判断できるようになるでしょう。
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ABA療育では何をする?何歳から始めるべきかも紹介

ABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)は、人の行動とその環境条件との関係を観察・分析し、行動を定量的・体系的に扱う心理学的手法です。
発達障害・自閉症スペクトラム(ASD)の子どもに適用されることが多く、「望ましい行動を増やす・不適切な行動を減らす」ことを目的としています。
具体的には、「先行条件(行動の直前)→行動→結果(行動後に得られる報酬など)」という3要素を記録・分析し、どの要因が行動を引き起こしているかを検討します。
そこから、強化(報酬)を使って望ましい行動を促す介入を設計し、不適切な行動には報酬を与えない環境を整える流れをたどります。
ABA療育を始める年齢については、一般的には「早ければ早いほどよい」という考え方が定説とされていることが多いです。
しかし、療育の現場では3歳前後から始めることが多いとされる例が多く、発達段階や子どもの状態を見て柔軟に始めるのがいいでしょう。
重要なのは、子どもの発達段階を無視せず、適切な目標設定を行うことです。
ABA療育を受ける6つのデメリット

ABA療育を受ける際のデメリットは下記の6つです。
ご褒美に対して適度に期待を寄せるようになる
指示がないと行動できないようになる
モチベーションを維持できなくなる
個別性への対応が難しくなる
人間関係や感情面でトラブルが起きやすくなる
親や指導者に多大な負担がかかる
詳しく見ていきましょう。
ご褒美に対して過度に期待を寄せるようになる
ABAでは「強化子(報酬)」を用いて行動を増やす手法が中心になるため、子どもが「ご褒美がないと動けない」「報酬がなければ意味が薄い」と感じてしまう可能性があります。
特に物的・金銭的な報酬に偏ると、行動そのものの楽しさや内発的なモチベーションが育ちにくくなることが指摘されています。
報酬を使う際には、物だけでなく承認、達成感、体験などにも重きを置く工夫が必要です。
指示がないと行動できないようになる
ABAは、指示・合図に基づいて行動を学習させることが多いため、「何をすればいいか言われないとできない」という姿勢が強まりやすいという危険性があります。
自発的・主体的な行動を育てる力が弱まり、将来の学習場面や日常生活で自ら動く力の育成に影響を及ぼす可能性があります。
モチベーションを維持できなくなる
最初は褒めてもらえる喜びや、ご褒美が効果的に働いて行動が増えても、同じ強化子を繰り返すと飽きが生じやすく、モチベーションが低下するリスクがあります。
特に褒める言葉やご褒美の種類がマンネリ化したり、子ども個人の興味に合わなくなると、行動の定着が難しくなります。
強化子の多様化や、新しい刺激を導入する工夫が不可欠です。
個別性への対応が難しくなる
ABAは行動を数値化・モデル化しやすい反面、感情・情緒・個性などに対応しにくいという批判があります。
マニュアル通り・定型的な介入を行うと、子どもの個別の特性を無視してしまい、心理的ストレスや反発を招くことも少なくありません。
「この子にはこう」という固定観念に縛られることなく、個別性を尊重した柔軟性が必要です。
人間関係や感情面でトラブルが起きやすくなる
報酬や条件付けの枠組みで関係性を捉えると、子どもが「自分以外の人との関係」を「ご褒美をもらう手段」と捉えてしまう恐れがあります。
自然な感情の交流や共感など、人間関係を育む体験が希薄になりやすく、「行動ができたから褒める・報酬を与える」という構図ばかりになると、感情的なつながりの発達に影を落とすことがあります。
親や指導者に多大な負担がかかる
ABA療育をうまく機能させるには、一貫性と継続性が不可欠です。
家庭でも親密な関わりが求められるため、親や指導者に対して時間的・精神的な負荷がかかります。
他の家事・育児や仕事との両立が難しくなるケースも少なくありません。
特に、無理なスケジュールで継続してしまうと、親自身が燃え尽き症候群に陥る危険もあります。
ABA療育のデメリット・リスクに対する対処法

上記の6つのリスク・デメリットに対して、実践的に取りうる対処法を以下に示します。
指導者と家族で密に連携を取るようにする
あくまでも本人の主体性を伸ばすことを意識する
TEACCHや感覚統合療法などさまざまなアプローチも取り入れてみる
これらは「予防」「軽減」「補完」の観点から設計すべきものです。詳しく解説します。
指導者と家族で密に連携を取るようにする
子どもの環境が療育場と家庭で乖離していると、効果が出にくく混乱を招く恐れがあります。
指導者と家族が定期的に情報を共有し、目標や強化子、対応方針を統一することが大切です。
日誌や行動記録を双方で確認し合う、定例ミーティングを設けるなど密なコミュニケーションを意識しましょう。
あくまでも本人の主体性を伸ばすことを意識する
指示に従わせるだけでなく、選択肢を与えたり、子ども本人が決められる機会を設けたりすることで、主体性を育むサポートになります。
褒めることやご褒美を「手段」であって「目的」にはしない意識を持ち、達成感や精神的な満足感を育む支援を並行して行うとよいでしょう。
TEACCHや感覚統合療法などさまざまなアプローチも取り入れてみる
ABAだけを押し通すのではなく、他の療育手法を組み合わせて多角的に支援することが効果的です。
たとえば、TEACCH(構造化教育プログラム)、感覚統合療法、遊戯療法、言語療法、音楽療法、ソーシャルスキルトレーニングなどを適宜導入することで、子どもの特性に合わせた柔軟な支援が可能になります。
ABA療育はデメリットだけでなく十分なメリットもある

もちろん、ABA療育には多くの利点があります。主なメリットは下記の4つです。
物を破壊する・ものを投げるなどの問題行動を減らせる
自分の意思を伝えられるなどコミュニケーション力を高められる
こだわりを減らしつつ自分の意思を自分の言葉で言えるようになる
子どもの行動の目的や思いを理解できるようになる
デメリットを理解したうえで、メリットを知ることも判断材料になります。
物を破壊する・ものを投げるなどの問題行動を減らせる
ABAでは行動の背景(なぜその行動が生じたか)を分析し、適切な強化策を設計します。
そのため、単なる我慢や罰による対応よりも持続的で根本的な効果を目指せます。
子どもの行動モデルを変えるような支援につながる可能性が高い点が、ABAの強みです。
自分の意思を伝えられるなどコミュニケーション力を高められる
ABAを通して「言えば反応が返ってくる」「伝えれば欲しいものが得られる」といった体験を重ねることで、子どもの言語・非言語コミュニケーションへの意欲を刺激できます。
これは、周囲との関係性を築く基盤づくりにもつながります。
こだわりを減らしつつ自分の意思を自分の言葉で言えるようになる
強化子・代替行動の設計によって、こだわり行動の頻度を下げつつ、別の行動パターンを学ばせることが可能です。
さらに、適切な代替手段を言語や動作で示すことで、自己表現の幅を広げられる効果が期待されます。
子どもの行動の目的や思いを理解できるようになる
ABA療育は、行動をただ禁止したり、制御したりするのではなく、「なぜその行動をしたのか(目的・動機)」を探る手法です。
そのため、より子どもへの理解が深まるだけでなく、子どもの思いや要求をより正しく捉えるきっかけとなります。
保護者・支援者の共感的な関わりのサポートにもなるでしょう。
ABA療育のやり方|基本の3ステップを紹介

ここでは、ABA療育を実践する際の基礎的な流れを下記の3ステップで解説します。
STEP1.行動を分析する
STEP2.好ましいと思う行動を強化する
STEP3.望ましくない行動は避けるようにする
各ステップをおさえておくことで、指導者・保護者ともに大まかな設計のイメージがつかめます。
STEP1.行動を分析する
最初のステップは、行動記録・分析です。
具体的には、先行条件(行動の直前に起こること)、対象行動(子どもの行為そのもの)、その結果(行動後に得られる報酬や反応など)を記録し、どの要因が行動を強化しているかを探ります。
これにより、行動介入を設計する根拠が得られます。
STEP2.好ましいと思う行動を強化する
行動分析の結果に基づいて、望ましい行動を増やすための強化子(報酬など)を設定します。
子どもにとって価値があるもの(物・承認・体験など)を用い、成功体験を積ませることで、行動が定着しやすくなります。
強化スケジュールや強化子の種類・タイミングの環境づくりがカギです。
STEP3.望ましくない行動は避けるようにする
不適切な行動に対しては下記のような対策を行います。
報酬を与えない
無視する
行動が機能しないように誘導する
環境づくり
叱るのではなく、その行動をしても得られるものがないと子どもが感じるような環境づくりが重要です。
不得手な行動を単に抑える手法ではなく、背景を変えるアプローチが求められます。
ABA療育を自宅で行うのは難しい理由

ABAを家庭でも取り入れたいという気持ちは強いですが、実際には難しいと感じることも多いです。
子どもの特性や成長に合わせたプログラムを考えるのは難しいため
ABAに関する専門知識が不足しているため
ここでは、自宅で実践する際に直面しやすい2つのハードルを紹介します。
子どもの特性や成長に合わせたプログラムを考えるのは難しいため
ABAは個別性が高い支援方法であり、子どもの発達段階・興味・感情などを踏まえて課題や強化子をプログラムすることが必要です。
専門知識なしで取り組むと、無理な目標設定や報酬設計で子どもに過剰な負荷を与えてしまうリスクがあります。
家庭だけで計画・実行するのは、相応の訓練と支援がないと難しいでしょう。
ABAに関する専門知識が不足しているため
行動分析や強化理論は一見シンプルに見えますが、実践には専門的な知見が不可欠です。
報酬のタイミング・種類・頻度、望ましい行動の定義づけ、不適切行動の機能代替設計など、誤った判断をすると、逆効果になりかねません。
家庭だけで実施する場合には、専門的なサポートを積極的に活用しましょう。
ABA療育を効果的に行うためにもプロの力を借りることが大切

ABA療育を最大限に活かすためには、専門家(行動分析士、ABA指導経験者など)の関与が重要です。
専門家のサポートを受ける理由とメリットを下記に示しました。
専門家が関わることで、子どもの反応を正しく評価し、柔軟にプログラムを修正できる
保護者や日常生活場面(学校・家庭など)との整合性を保つ調整役を担ってもらえる
親への指導・スーパービジョンを通じて、家庭内での支援の質を上げられる
長期的視点での進捗管理や見直しを継続できる
家庭だけでABAを進めようとして挫折してしまうケースも少なくありません。
プロと連携することで、子ども・保護者双方の負担を軽くしつつ、効果を引き出せる可能性が高くなります。
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ABA療育が受けられるおすすめ療育施設を一覧で紹介

以下は、ABA療育を導入している(または対応している)施設の例です。
地域などによって利用できる施設は異なるため、あくまで参考としてご覧ください。
これらの施設は、ABAプログラムを取り入れているか、少なくとも応用行動分析アプローチを導入している可能性が高いものです。
実際の対応可否・詳細は各施設に問い合わせて確認してください。
ABA療育にかかる費用はいくら?公的療育と民間療育でどれくらい変わる?

ABA療育を始めるにあたり、費用面は非常に重要な判断要素です。
以下に、公的療育と民間療育それぞれの費用感をまとめ、比較できるよう表に整理しています。
種類 | 費用負担 | 月額目安/備考 |
公的療育(認可通所施設) | 自己負担1割(残9割は公的支援) | 所得に応じて月額上限設定、3〜5歳は無償化対象(実費別途) |
民間療育 | 全額自己負担 | 15,000〜80,000円程度(週1回・30〜60分程度)+入会金・教材費等 |
ペアレント・トレーニング | 自己負担 | 施設・団体による(回数制/月額制など) |
認可を受けた通所施設(公的療育)の場合は給付制度が受けられる
公的な障がい児通所支援施設を利用する場合、「障がい児施設給付制度」が適用され、原則として自己負担は1割になります。
残り9割は国・自治体が負担する仕組みです。所得によって上限が設けられ、多子軽減や減免制度が自治体により追加されるケースもあります。
なお、児童発達支援の無償化制度により、3〜5歳児は利用者負担が無償化されることがあります。
ただし、教材費・交通費・おやつ代などの実費負担は自己負担です。
民間療育の場合は自己負担となる
民間のABA療育施設では、給付制度が適用されないことがほとんどで、全額自己負担となります。
利用頻度・時間・内容によって費用は変動しますが、週1回・30〜60分程度のセッションで月額15,000〜80,000円が一般的です。
さらに、入会金・教材費・施設利用料などが別途かかることもあります。
ペアレント・トレーニングでは別途費用がかかる
ABA療育と並行して実施されることが多いのが「ペアレント・トレーニング」です。
子どもとの関わり方を学ぶ保護者向けプログラムですが、団体や施設によって参加費用が異なります。
月額制・回数制などさまざまですので、事前に確認しておきましょう。
ABA療育のメリット・デメリットを理解して子どもに合うか判断しましょう

本記事を通して、ABA療育の強み・弱み、実践上の注意点、他アプローチとの併用、費用比較、施設選択のポイントなどを一通りご紹介しました。
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