児童発達支援の開業を検討している方の中には、「開業にはどれくらいの資金が必要なのか?」や「資金をどのように調達すれば良いのか?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、児童発達支援事業を開業する際に必要な資金の目安や、内訳の詳細、さらに資金調達の方法について分かりやすく解説します。
1、児童発達支援を開業するための資金はどれくらい必要?
児童発達支援を開業する際の資金の目安は、一般的に1,000万円〜1,500万円程度とされています。
ただし、必要な金額は事業所の規模や開業するエリアによって大きく異なります。そのため、物件の賃料や人件費など、開業予定エリアの具体的な条件を基に計算することが重要です。
2、開業資金の内訳
児童発達支援の開業に必要な資金は、大きく分けて以下の2種類に分類されます:
(1)初期資金
開業準備段階で必要な資金。
(2)運転資金
開業後、事業が安定するまでの数ヶ月間を支えるための資金。
以下に、それぞれの具体的な項目を解説します。
(1)初期資金
児童発達支援を開業する際に必要な初期資金には、以下のような具体的な費用項目が含まれます。
①送迎車購入費
送迎サービスを実施する場合は、送迎車の購入またはリース費用が必要です。
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一般的には事業所の規模に応じて2〜3台が必要とされます。
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車いすを利用する児童を受け入れる場合は、福祉車両が必要になります。福祉車両は通常の車より割高で、注文から納車まで時間がかかることがあるため、計画的な準備が必要です。
②人員採用費
児童発達支援では、人員基準を満たすために最低限必要な職種と人数を採用する必要があります。
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採用活動には、無料の求人媒体(例:ハローワーク)や有料の求人サイト・求人情報誌を利用するのが一般的です。
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有料媒体を利用する場合は、掲載費用や人材紹介会社への手数料などの費用が発生します。
③ 物件取得・リフォーム費
事業所として物件を利用する場合、以下のような初期費用が必要です:
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賃貸物件の場合:敷金、礼金、仲介手数料など。
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事業所のコンセプトに合わせたリフォーム費用。
設備基準を満たしているか確認したうえで契約を進めることが重要です。
④ 備品購入費用
児童発達支援では、事業運営に必要なさまざまな備品を購入する必要があります。
具体例として以下が挙げられます:
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ロッカー、机、椅子
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パソコン、複合機、請求ソフト
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おもちゃ、機能訓練機器
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簡単な医療機器(例:体温計)
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冷蔵庫、電子レンジ、テレビ
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その他、事業運営に必要な備品
(2)運転資金
運転資金は、事業が安定して収益を得られるまでの間、継続的に必要となる費用です。主に以下のような項目が含まれます。
①人件費
人件費は事業運営において最も重要な経費のひとつであり、以下の要素が含まれます:
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給与:職員やスタッフに支払われる基本給。
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賞与:年に一度または複数回支払われるボーナス。
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役員報酬:経営者や役員に支払われる報酬。
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法定福利費:社会保険料の事業所負担分(健康保険、厚生年金など)。
②その他の費用
運転資金には、人件費以外にも以下のような費用が含まれます:
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税理士・行政書士・司法書士報酬
経理や法務関連の専門家に支払う報酬。 -
家賃
事業所として利用している物件の賃料。 -
駐車場代
送迎車やスタッフ用車両の駐車場料金。 -
水道光熱費
電気、ガス、水道の利用料金。 -
消耗品費
ペンや紙、清掃用品などの日常的な消耗品の費用。 -
車両管理費
送迎車の保険料やメンテナンス費用。 -
研修費
スタッフのスキル向上や資格取得のための研修にかかる費用。 -
借入金返済
開業時に借り入れた資金の返済に必要な費用。
3、資金の調達方法
児童発達支援を開業する際には、資金をどのように調達するかが重要なポイントです。
一般的には、自己資金と金融機関からの融資を組み合わせて資金を準備するケースが多く見られます。
(1) 自己資金
自己資金とは、自身が所有または調達した資金のうち、事業に投資できる資金を指します。
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金融機関から融資を受ける際、開業資金の総額の10分の1から3分の1程度を自己資金として準備する必要があると言われています。
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自己資金を多く用意することで、融資の審査がスムーズになる場合があります。
(2)金融機関からの融資
金融機関からの融資を検討する際は、以下の手順で進めるのが一般的です:
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金融機関のホームページなどで融資制度を調査する。
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必要な書類を作成する。
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相談のために金融機関に連絡する。
融資を受けるために必要な書類の例:
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決算書(新規法人設立以外の場合は3期分)
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事業計画書
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資金計画書(資金繰り表)
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事業所のパンフレット
(3) 日本政策金融公庫の融資制度
児童発達支援の開業時には、政府系金融機関である「日本政策金融公庫」の融資制度が多くの人に選ばれています。
この公庫では、創業期の事業者向けに積極的な融資制度を提供しており、条件を比較検討する際の候補として考えるべき選択肢です。
主な融資制度の概要:
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ソーシャルビジネス支援資金
障害福祉や保育など、社会的課題の解決を目的とした事業向けの融資制度。 -
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)
女性や35歳未満、または55歳以上の事業主を対象にした新規事業向けの融資制度。
4、資金調達時の注意点
資金調達を進める際には、以下のポイントに注意することが重要です:
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調達先と融資の種類を慎重に検討する
開業資金の調達先や利用する融資の種類について十分に検討し、自身の事業に最適な選択を行いましょう。 -
同業他社との差別化を明確にする
どのようにして同業他社と差別化を図るのかを具体的に考え、事業の独自性をアピールできる内容を準備しましょう。 -
綿密な事業計画書を作成する
事業計画書は資金調達の重要な要素です。実現可能な計画を具体的に示し、融資を受けるための信頼性を高めましょう。
5、まとめ
この記事では、児童発達支援を開業するために必要な資金やその内訳、資金調達方法について解説しました。
開業を目指す際には、資金調達だけでなく、事業計画の作成、従業員の採用、利用者の獲得など、多くの準備が必要です。
これらを一つひとつ丁寧に進めることで、成功に近づくことができます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。