児童発達支援の開業を検討している方の中には、フランチャイズでの開業を選ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、フランチャイズを利用した開業の流れや、そのメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。
1、児童発達支援とは?
児童発達支援とは、0歳から6歳までの障害のある児童を対象に、療育(発達支援サービス)を提供する事業のことです。
このサービスでは、児童一人ひとりに合わせた支援を行い、日常生活に必要な動作の習得や、集団生活への適応をサポートします。
児童発達支援は、2012年の児童福祉法改正により創設されました。その後、療育を必要とする児童の増加に伴い、事業所の数が急速に増加している注目の分野です。
2、フランチャイズ(FC)とは?
フランチャイズ(FC)とは、新たに事業を始めたい個人や事業者がフランチャイズ本部と契約を結び、加盟金やロイヤリティを支払うことで、本部の事業運営ノウハウや特定の商標を使用する権利を得られる仕組みです。
加盟者は、開業準備をサポートしてもらえるだけでなく、開業後も利用者の獲得や運営のサポートを受けることができるため、スムーズかつ効率的に事業を運営することが可能です。ただし、加盟金やロイヤリティといった費用がかかるため、これらの対価に見合ったメリットがあるかどうかを慎重に判断する必要があります。
フランチャイズの特徴① 加盟金
加盟金とは、フランチャイズに加盟する際に支払う初期費用の一部です。
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経営ノウハウの提供、開業準備のサポート、商標の利用権などに対する対価として支払います。
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一度支払った加盟金は、フランチャイズを脱退した場合でも返還されないことが一般的です。
児童発達支援における加盟金の相場
200万~300万円が目安となっていますが、企業によって金額が異なります。
フランチャイズの特徴② ロイヤリティ
ロイヤリティとは、フランチャイズ加盟店が開業後、本部に継続して支払う手数料です。
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経営ノウハウ、商標、研修プログラムの利用に対する対価として支払います。
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支払い方式は企業によって異なり、以下のような形式があります:
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毎月固定の金額
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売上に対する一定の割合
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児童発達支援のフランチャイズにおけるロイヤリティの相場
売上の4.5%~7%程度が一般的で、多くの場合、売上の一定割合を支払う方式が採用されています。
3、児童発達支援のフランチャイズ開業の流れ
フランチャイズに加盟して児童発達支援を開業する場合の一般的な流れを、ステップごとに解説します。
① 資料請求や説明会への参加
まず、自身の希望に合ったフランチャイズ企業を見つけるため、資料請求や説明会への参加を行いましょう。
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オンライン説明会を実施している企業もあるため、効率的に情報を集めることが可能です。
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加盟金やロイヤリティ、サポート体制、収益性、違約金の有無などの観点から複数の企業を比較検討します。
② 加盟申し込み・審査
比較検討の結果、加盟したい企業が決まったら、加盟申し込みを行います。
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フランチャイズ本部では、「経営者としての姿勢」や「本部の理念や方針への共感度」などを基に審査を実施します。
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申し込みをしたすべての人が加盟できるわけではないため、注意が必要です。
③ 物件選び
物件選びは、フランチャイズ本部のサポートを受けつつ進めます。
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児童発達支援の物件では、設備基準を満たしていることが前提となります。
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立地、広さ、賃料、駐車場の有無などを比較検討して契約を進めましょう。
④ 資金調達
開業には、以下の費用が必要です:
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物件の契約費用、改装費用
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設備・備品購入費、人件費
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開業後の運転資金
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フランチャイズ加盟金
自己資金で不足する場合は、銀行や金融機関から融資を受ける必要があります。
⑤ フランチャイズ契約
資金計画と事業計画を策定し、資金の目途が立ったら、フランチャイズ契約を結びます。
契約の際は、以下の条項をしっかり確認しましょう:
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加盟金やロイヤリティの金額および算定方法
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契約期間、中途解約の条件
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近隣で同一フランチャイズの事業所が開業する可能性の有無
4、フランチャイズで児童発達支援を開業するメリット
フランチャイズに加盟して児童発達支援を開業することで、どのような利点が得られるのでしょうか。ここでは、具体的なメリットを3つご紹介します。
メリット① 開業の手間を軽減できる
児童発達支援を開業するためには、法人登記や指定申請、人材確保、利用者獲得など、多岐にわたる手続きが必要です。これらは非常に手間がかかるため、初心者には大きな負担となります。
しかし、フランチャイズに加盟すると、開業までの各種手続きについてサポートを受けられるため、スムーズに準備を進めることができます。
ただし、サポート内容はフランチャイズ企業によって異なるため、どのような支援が受けられるのか事前に確認することが重要です。
メリット② ブランドの信頼を活用できる
フランチャイズに加盟することで、知名度や信頼のあるブランド名や商標を使用する権利を得られます。
これにより、以下のようなメリットが期待できます:
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保護者に安心感を与えやすい。
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集客がスムーズに進む。
ブランド力のある企業と提携することで、開業初期から事業を軌道に乗せやすくなります。
メリット③ 運営ノウハウで成功をサポート
フランチャイズ本部が持つ人材確保、集客、事業運営のノウハウを活用することで、事業を効率的に進めることができます。
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マニュアルや書類作成のテンプレートを提供してもらえる。
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経営者や従業員向けの研修を受けられる。
これにより、事業運営だけでなく療育の質向上にもつながり、利用者や保護者からの信頼を得ることができます。
5、フランチャイズで児童発達支援を経営するデメリット
フランチャイズには多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。ここでは、具体的なデメリットを4つご紹介します。
デメリット① 費用の負担が大きい
フランチャイズでの開業には、加盟金やロイヤリティの支払いが必要です。
これらの費用は初期負担が大きいだけでなく、開業後も継続的に発生するため、収益を圧迫する可能性があります。
また、事業運営がうまくいかず、契約を解約したい場合には違約金が発生するケースもあるため、注意が必要です。
デメリット② 独自性を発揮しにくい
フランチャイズ本部が定める統一されたルールや方針に従う必要があるため、事業所独自の理念や方針を反映しにくいことがあります。
自身のオリジナルなアイデアを事業運営に取り入れたいと考える方にとって、この制約は大きなデメリットとなるかもしれません。
デメリット③ ブランドイメージの影響を受ける
フランチャイズでは本部のブランド力を活用できる一方、ブランドイメージの影響を受けやすい側面もあります。
例えば、本部が社会的なトラブルに巻き込まれたり、イメージダウンにつながるような問題が発生した場合、皆様の事業所が適正な運営を行っていても、ブランド全体の評価が下がることで集客に悪影響を及ぼす可能性があります。
デメリット④ 契約期間による制約
フランチャイズ契約には一定の契約期間が設けられており、一般的に3年~5年の縛りがあります。
契約期間中に経営が難しくなった場合でも、途中解約には違約金が発生する可能性があります。
経営リスクを考慮した上で契約内容を十分に確認することが重要です。
6、フランチャイズ以外の開業サポートを受ける方法
フランチャイズに加盟しなくても、児童発達支援の開業に役立つサポートを受ける方法があります。以下にその一例をご紹介します。
士業の開業サポート
税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士といった専門家が提供するサポートは、フランチャイズに頼らない開業を目指す方にとって非常に有益です。
これらの専門家は、以下のような分野で支援を行います:
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法人の設立
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資金調達
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許認可の取得
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収支計画の作成
さらに、開業後も顧問契約を結ぶことで、事業運営を継続的にサポートしてもらうことが可能です。これにより、専門的な知識を活用しながら、事業運営の安定化を図ることができます。
7、まとめ
この記事では、フランチャイズを活用した児童発達支援の開業について、メリットやデメリット、フランチャイズ以外の開業サポート方法を解説しました。
フランチャイズを選択する場合は、加盟金やロイヤリティ、契約期間などの条件を十分に比較検討し、自分に最適なフランチャイズを見極めることが大切です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。