「不登校の子どもの居場所や学びの場は、どうやって作ってあげたらいいんだろう?」
こうした悩みを抱える家庭の多くで、療育や学習支援、社会性を育む活動が行われる「放課後等デイサービス」や療育施設の利用が検討されています。
しかし、「一つの事業所だけで足りる?」「複数の事業所を併用しても大丈夫?」と不安に思う方も少なくありません。
実は放課後等デイサービスは制度上、複数の事業所を併用が可能です。
この記事では、複数利用の基本ルールや料金の仕組み、メリット・注意点、さらには実際に放課後等デイサービスを利用している保護者の声まで、幅広く解説します。
お子様にとってより良い環境を整えるために、ぜひ参考にしてください。
放課後等デイサービスは複数利用が可能!制度の基本を理解しよう
放課後等デイサービスは、発達に特性のあるお子様や不登校のお子様が安心して療育や学習支援を受けられる福祉サービスです。
複数事業所の掛け持ちも認められていますが、複数利用には、日数や料金の上限、自治体への申請といったルールが多数あります。
制度の仕組みを正しく理解し準備を整えられるよう、複数利用の基本ルールや「放課後等デイサービス」のサービス内容をより具体的に解説します。
複数利用は可能!掛け持ち・併用の基本ルール
放課後等デイサービスの利用にまず必要なのは、身体や精神に障害のある(発達障害を含む)お子様を対象に、お住いの市区町村から発行される「通所受給者証」です。
通所受給者証を取得すれば、1つの放課後等デイサービスだけでなく、複数の掛け持ち・併用も可能です。
ただし、複数事業所の利用は原則として別日に可能となっており、同日の併用は制度上認められていません。
併用の可否や運用ルールは自治体ごとに異なるため、複数利用を検討している場合は、まず自治体の窓口や相談支援事業所に確認しましょう。
利用上限日数は、ひと月あたり10〜23日程度が一般的ですが各自治体によって異なり、通所受給者証に記載されています。
記載の範囲内であれば、複数の事業所の組み合わせが可能です。
「放課後等デイサービス」ってどんなサービス?
放課後等デイサービスは、6〜18歳までの障害をもつお子様が、放課後や学校が休みの日に利用できる福祉支援サービスです。
お子様一人ひとりの特性や発達状況に応じて支援を行い、生活能力の向上や社会との交流を促進することを目的としており、大きく分けて4つの役割があります。
1つ目の「本人支援」では、食事や着替えなどの基本的な日常動作や自立生活を支援し、お子様の生活能力を高めます。
2つ目の「家族支援」はお子様ではなく保護者が対象で、実施されるのは育児負担軽減のための相談対応です。
3つ目の「移行支援」では、学校生活や就職など、将来の次のステップへ向けた準備をサポートします。
そして最後、4つ目の「地域支援・地域連携」では、ボランティアの受け入れをはじめとした地域の交流活動を通して、お子様の成長をサポートします。
また、放課後等デイサービスと0〜6歳を対象にした児童発達支援を一つの事業所で提供する「多機能型事業所」であれば、0〜18歳まで同じ事業所に通い続けられます。
環境が変わることにストレスを感じるお子様も少なくないため、一貫して支援を受けられる事業所も選択肢の一つにするとよいでしょう。
複数利用時の料金体系を徹底解説【負担軽減の仕組み】
複数の事業所を利用しても過剰な負荷がかからないよう、自己負担額には上限が設定されていますが、自治体によって計算方法や上限月額は異なる場合があります。
仕組みを正しく理解し、各市区町村に確認することが重要です。
放課後等デイサービスの料金は、利用者の自己負担が1割、残りの9割は自治体負担が原則で、上限月額は各世帯の所得状況に応じて定められています。
たとえば、生活保護世帯や市民税非課税世帯の場合、自己負担額は0円です。
市民税課税世帯の月額上限は、年収890万円未満の場合は4,600円、年収890万円以上の世帯では37,200円とされています。
利用料金の目安は1日あたり700〜1,200円程度ですが、お子様の昼食代やおやつ代は別途発生する可能性があるため、各事業所に確認しましょう。
注意!別途費用がかかるケース
放課後等デイサービスでは、上限額管理の対象である基本料金のほかに、おやつ代やイベント参加などの活動費、教材費、送迎費、キャンセル料などが発生するケースも少なくありません。
異なる事業所でイベントや特別プログラムに参加する場合、それぞれの事業所で参加費が必要になり、複数の事業所を利用すると全体の出費が増える可能性があります。
また、教材や活動用品の購入が求められる場合もあるため、複数事業所の利用を検討する際は、各事業所の別途費用の方針を事前に確認することが重要です。
放課後等デイサービスを複数利用する4つのメリット
放課後等デイサービスを複数の事業所で利用すると、多角的なアドバイスを受けられる育児の相談先が増えるほか、休所や緊急時のリスク分散にも繋がり、より柔軟で多彩な支援環境を整えられます。
希望に合った利用回数を確保できるだけでなく、さまざまな療育プログラムや体験活動に触れるチャンスも広がるでしょう。
次の章では、こうしたメリットを4つに分けて、より詳しくご紹介します。
メリット① 希望通りの利用頻度を確保しやすい
事業所ごとに定員数が決まっている放課後等デイサービスでは、希望する曜日や時間帯の空きが少ない場合も多いですが、複数の事業所を併用すると望んだスケジュールや頻度でサービスを利用しやすいです。
特に共働き世帯の場合は、夏休みなどの長期休暇中に午前中から利用可能な事業所や、平日18時前後まで対応している事業所を組み合わせると、育児と仕事の両立がしやすくなります。
土曜日など、休日もお子様を預けられると保護者自身の時間を確保できるため、休息を取ったり用事を済ませたりして、精神的な負担軽減にもつなげられます。
複数事業所の併用は、利用頻度を柔軟に調整できる点で、保護者とお子様双方に大きなメリットがあると言えるでしょう。
メリット② 多様な療育プログラムと体験活動に触れられる
放課後等デイサービスと一言にいっても、取り扱うプログラムは事業所ごとに異なります。
たとえば、お子様の特性や個性に合わせたプログラムを専門とする事業所もあれば、お子様の日常生活や自立の支援を行うプログラムを得意とする事業所もあります。
複数の事業所を利用すると、学習支援や運動療育、創作活動、感覚統合、ソーシャルスキルトレーニング(SST)など、多様なプログラムを受けることが可能です。
また、多岐にわたる活動やさまざまな集団に参加すると、お子様の自己肯定感や自己有用感、社会性、コミュニケーション能力の向上がより期待できます。
複数の事業所利用によって新しい興味や関心を見つける機会が増えるため、できることや得意なことを伸ばすチャンスも広がります。
メリット③ 育児に関する相談先が増え、多角的なアドバイスが得られる
複数の放課後等デイサービスを利用すると、各事業所の専門スタッフから多角的なアドバイスや情報提供を受けられるため、複数の視点から解決策やサポート方法を見つけられるでしょう。
保護者が抱える育児の悩みや不安をより多くの専門家に打ち明けることは、効果的な解決の後押しになるはずです。
お子様にとっても、周囲に家族以外の信頼できる大人が増えると安心感を得やすいだけでなく、多様な人間関係を築く経験に繋がります。
保護者とお子様の双方に、支えとなる関係が広がるのは非常に大きなメリットです。
メリット④ 緊急時のリスクを分散できる
複数の放課後等デイサービスを併用すると、緊急時のリスクを分散できます。
ある事業所が感染症などの影響で急に休業になった場合も、別の事業所が利用できれば預け先の確保が可能です。
家庭の都合やお子様の体調に応じて、利用する事業所や頻度を柔軟に調整できる点もメリットです。
たとえば、お子様の体調が優れない日は自宅から近い事業所に通い、元気な日は活動量が多いプログラムを実施している事業所を選ぶことができます。
また、保護者が残業しなければならない場合は夜遅くまで利用できる事業所、夏休みなど長期休暇で日中保護者が不在の場合は午前から利用できる事業所、といった使い分けも可能です。
複数の放課後等デイサービスを併用すると、緊急時のリスクを減らしつつ、家庭の都合やお子様の体調に合わせて柔軟に利用可能なため、継続的な支援を受ける環境を安心して整えられます。
放課後等デイサービス複数利用で知っておきたい注意点
複数の放課後等デイサービスを利用する際は、メリットだけでなく注意すべきポイントも理解しておくことが大切です。
複数の事業所は同じ日に利用できないこと、利用上限日数の管理、事業所間での情報共有など、制度や運用ルールの確認は欠かせません。
これらの注意点を押さえておくと、保護者もお子様も安心して、負担の少ない複数利用が可能になります。
次の章では、具体的な注意事項を詳しく解説します。
1. 同じ日に複数事業所は利用できない【ルールを徹底確認】
放課後等デイサービスには、同一日に2つ以上の事業所を利用できないという厳格なルールがあるため、予想外の出費が発生する可能性があります。
たとえば「午前中にA事業所、午後にB事業所」のような利用をした場合、1つの事業所以外の利用料は全額自己負担となります。
ある事業所を休んだ日に別の事業所を利用する場合も、両事業所に事前に連絡し、情報を共有しましょう。
お子様の体調や安全に関する情報の正確な共有によって制度違反や誤請求を防ぐだけでなく、安心して支援を受けられる環境を整えるために必要です。
ルールを正しく理解したうえで各事業所との連結を密に行い、お子様が安心して支援を受けられる環境を整えてください。
2. 利用上限日数は変わらない!自治体への申請が必要な場合も
複数の放課後等デイサービスを併用して通う頻度が増えた場合も、自治体が定めた1か月あたりの利用上限日数は変わらないため、オーバーしないよう各事業所での利用日数を正確に把握し管理する必要があります。
上限日数を超えた利用は不可能な一方で、上限日数自体を増やすことは可能です。
ただし、追加の可否はお子様の状況や個別のニーズにより判断されるため、事前の計画や事業所・自治体との連携が大切です。
上限日数を増やしたい場合は、まず自治体へ相談しましょう。
3. お子さんへの負担を考慮する大切さ
複数の放課後等デイサービスの利用では、異なる環境への適応や移動時間、新しい人間関係の構築などにより、お子様にストレスや疲労が蓄積する可能性も否めません。
事業所ごとに療育方針や活動内容が異なる場合は特に、支援の一貫性を確保しづらくお子様の混乱を招きやすいです。
保護者は日々の様子を観察しながらお子様自身の意見や希望を尊重し、性格や特性、体調に配慮して、無理のない範囲で利用計画を立てることが大切です。
複数利用時の施設側との対応
上限額管理の具体例
放課後等デイサービスの掛け持ち利用により月額負担上限額を超えた分は「高額障害福祉サービス費」として払い戻されます。
たとえば、月の上限額が4,600円の世帯が2つの事業所を利用し、合計で8,000円を支払った場合、上限額を超えた3,400円が払い戻されるため、実質的な負担額は変わりません。
ただし、過度な負担を発生させないための制度である「上限額管理(上限管理)」を事業所へ依頼する必要があります。
通所受給証を発行した市区町村に、事業所が「利用者負担上限額管理事務依頼(変更)届出書」と「通所受給証」を提出し手続きが完了すると、複数の事業所を利用しても上限額を超えないよう調整が開始されます。
セルフプランで複数の事業所を併用しているお子様の場合は、自治体から指定された「コア連携事業所」が他の事業所と情報連携を行うことで、「事業所間連携加算」が適用されるケースがあります。
事業所同士がお子様の様子やサポートの仕方を連携した場合に対象となるため、料金面で負担が軽減されるだけでなく、円滑な療育支援の提供も可能になります。
なおセルフプランとは、保護者がサービス等利用計画を自分で作成して利用する方法です。
これらの制度を活用すると、保護者は費用を心配することなく、お子様のニーズに合わせて最適な事業所を柔軟に組み合わせられます。
きょうだい児(兄弟)が利用する場合の料金
料金は、原則としてお子様一人ひとりに発生します。
きょうだい児が放課後等デイサービスを利用する場合、世帯ごとに設定されている月額負担上限を超えてしまうケースも少なくないため、兄弟の利用合計額で上限額管理を行う「兄弟間上限管理」が必要となります。
仕組みや取扱いは通常の上限額管理と同様で、上限額を超えた分の利用料は高額障害福祉サービス費として返金されるのでご安心ください。
申請方法も通常の上限額管理と基本的には変わりません。
ただし、提出する通所受給証の保護者名が同一であること、「利用者負担上限額管理対象者該当の有無」欄に「該当」と記載があり、かつ特記事項欄に「複数障害児あり」と記載されていることが必要です。
事業所は、上記をもとに申請されたお子様が同一世帯であるか確認するため、記載内容は事前に確認しておきましょう。
「利用者負担上限管理事務依頼届出書」の手続き
複数の放課後等デイサービスを利用し、月の利用者負担額が世帯の上限額を超える見込みの場合、「利用者負担上限額管理事務依頼(変更)届出書」を自治体に提出する必要があります。
この手続きを行うと、メインで利用する事業所(上限管理事業所)が他の事業所と連携し、利用者負担額が上限を超えないように調整してくれます。
書類の記入方法や必要な添付資料が制度によって異なることから、事業所間での連携方法や調整の手順には専門的なアドバイスが必要です。
スムーズで正確な申請のためにも、メインで利用する事業所の担当者や自治体の福祉課へ積極的に相談しましょう。
担当者に相談すると、複雑な手続きも安心して進められ、複数事業所の利用でも予想外の負担を避けながら、お子様に合った柔軟な支援環境を整えられます。
事業所間の情報共有と連携の重要性
複数の放課後等デイサービスを利用する際は、各事業所間でお子様の状況や支援内容、留意事項などを定期的に共有し、連携を図ることが大切です。
しっかり情報共有されていれば、異なる事業所でも統一した療育方針で支援を受けられ、お子様の混乱を防げます。
セルフプランで複数事業所を利用する場合は、市町村が選定した各事業所との調整役である「コア連携事業所」が中心となって情報連携を進め、お子様に適切な支援を提供できるようサポートしてくれます。
障害のあるお子様やその家族が必要な支援を受けられるよう、生活全般の相談やサービス利用の調整を行う専門機関「障害児相談支援事業所」の利用も重要です。
障害児相談支援事業所では、お子様や家族の生活全般の状況や支援ニーズを把握し、複数サービスの利用をコーディネートする役割を担っています。
保護者や事業所が相談支援事業所と積極的に連携すると、事業所間の情報共有や支援内容の調整を行ってくれるため、複数事業所利用のメリットを最大限に活かせます。
複数利用している保護者のリアルな声・体験談
放課後等デイサービスを複数利用している保護者の声からは、制度や仕組みだけでは分からない、実際のメリット・デメリットが見え、これから複数利用を検討する保護者にとって参考になる情報ばかりです。
次の章では、複数事業所の併用で得られた安心感やお子様の反応、具体的な体験談や保護者の工夫をより詳しく紹介します。
1. 『総力戦』!多事業所利用で得られた安心感
放課後等デイサービスの併用を「総力戦」と考え、福祉サービスを最大限活用することによって、保護者が休息時間を確保し、精神的なゆとりを持てたという声があります。
学校の校門前までの送迎サービスを利用すると、朝の送り迎えの負担が大幅に軽減され、お子様の安全も確保できたという体験談です。
共働き家庭では、スケジュールごとに利用する事業所を変えることで、仕事の開始時間や残業にも柔軟に対応できた例があります。
夏休みや冬休みなどの長期休暇中は午前8時から預かってくれる事業所を利用し、仕事の繁忙期は夜遅くまで預かってくれる事業所に切り替えるなど、保護者の予定に合わせて事業所を使い分けることも可能です。
療育プログラムが異なる事業所を組み合わせたことで、さまざまな体験や学びに触れられ、発達支援の幅を広げられたというケースもあります。
複数事業所を戦略的に活用すると、親子双方に安心感をもたらし、充実した支援環境を整えられます。
2. 異なる事業所でのお子様の反応と発見
お子様が事業所ごとに異なる表情や行動を見せることに気づき、多様な側面を理解するきっかけになったという保護者の声があります。
複数の放課後等デイサービス利用によって、身を置く環境やスタッフとの関わり方が変化すると、お子様の適応力や興味関心の幅を広げることが可能です。
学習支援系の事業所を低学年で利用し始めると、算数や国語の基礎学力に加え、集中力や自主学習の習慣を身につけられ、将来の学習や生活につながる基盤を築けるという事例も報告されています。
たとえば、低学年のうちに読み書きや計算のサポートを受けることで、中学年以降に学校の授業内容についていきやすくなったり、学習に対する自信を持てたりするケースがあります。
複数事業所の利用は、お子様自身の成長や特性の理解につながるだけでなく、保護者の観察力や戦略的な判断力を高めるきっかけにもなります。
3. デメリットを乗り越える工夫と本音
複数の放課後等デイサービスを利用することで、家庭でゆっくり過ごす時間や友達と遊ぶ時間の減少を実感する保護者も少なくないため、率直な不満や悩みを踏まえた工夫も行われています。
たとえば、週3日以上の利用を前提とする事業所で、初めの1か月は週1日の利用に留め家庭で過ごす時間を確保し、慣れや体力に応じて週2日に増やし、最終的に週3日で利用できるように調整したケースです。
お子様が事業所ごとの活動内容や雰囲気に違和感を示す場合には、無理に通わせるのではなく、好みに合った曜日やプログラムにだけ参加させるなど、柔軟な対応も取られています。
また、複数事業所の利用に伴い連絡帳が増え、記入の手間や情報管理の難しさを感じる保護者も珍しくありません。
毎日の連絡事項をExcelや手帳で一元管理したり、事業所間での共有を担当者に依頼したりして、情報の漏れや混乱を防ぐ方もいらっしゃいます。
デメリットを理解したうえで日々の工夫や事業所との連携を重ねると、お子様にとって最適な支援環境を維持しながら、保護者も無理なく複数事業所の利用を続けることが可能になります。
あなたに合った放課後等デイサービスの選び方【複数利用も視野に】
放課後等デイサービスは、事業所ごとに療育方針や特色、対応可能な時間帯が異なるため、お子様の特性や生活リズムを考慮して選ぶことが重要です。
複数の事業所を利用する場合は、どのような支援をどの事業所で受けるか明確にすると、お子様が安心できる環境を作れます。
次の章では、具体的な事業所選びのポイントや、見学・体験利用、自治体制度の確認方法などを詳しく解説します。
1. お子様のニーズと特性に合わせた事業所選びのポイント
お子様の発達段階や障害の特性(注意欠如や多動症のADHD、自閉スペクトラム症、知的障害、医療的ケア児など)にそぐわないプログラムでは、療育の効果が十分に得られない可能性があります。
個別支援計画(個別の発達支援計画)が、お子様のニーズや課題を客観的に分析し、オーダーメイドで作成されるか確認しましょう。
目標や支援方法が明確で、一人ひとりに寄り添った具体的な計画であれば効果的な成長を促せますが、オーダーメイドの計画ではなく支援の方向性が合わない場合は、お子様の成長や能力向上に繋がりにくいです。
専門性やアプローチ方法は事業所によって異なるため、提供される療育内容・活動プログラムにお子様が興味・関心を示すか、個別活動と集団活動のバランスが適切に考慮されているかもチェックポイントです。
個別活動で自信や能力を伸ばしつつ、集団活動を通して社会性やコミュニケーション能力を育む環境が整っている事業所を選ぶと、複数利用の効果を最大限に引き出せます。
これらのポイントを押さえて事業所を選ぶことで、お子様に最適な支援環境を整えつつ、複数事業所の利用によるメリットを十分に活かせるでしょう。
2. 見学・体験利用で事業所の雰囲気を確かめる
放課後等デイサービスは、パンフレットやWebサイトの情報だけで選ばず、見学や体験利用で実際に事業所を訪問して判断しましょう。
事業所を直接見ることで、職員のお子様への接し方や声かけの仕方、お子様同士の交流の様子など、書面だけでは伝わらない対応の質や雰囲気を確認できます。
送迎サービスの有無や範囲(学校や祖父母宅など自宅以外への送迎可否)、延長支援の有無、夏季・冬季休暇などの長期休暇や土日祝日の利用についても事前に確認しておくと、スムーズに計画を立てられます。
また、利用料金の補助対象外となる、おやつ代やイベント費、教材費、キャンセル料などの「実費」も、契約前に詳しく説明を受け、全体の費用感を把握できると安心です。
こうしたポイントをしっかり確認すると、お子様にとっても家庭にとっても最適で負担の少ない事業所選びが可能になります。
3. 自治体の制度や助成制度の確認方法
国が定める基本的な制度だけでなく、お住まいの自治体独自の助成制度も確認しましょう。
交通費の補助や利用料の減免など、支援内容は市区町村によって異なるため、活用できる制度を見逃さないことが大切です。
障害福祉課や障害児相談支援事業所が、地域の放課後等デイサービスに関する情報、利用料金・助成制度の相談窓口です。
早めに相談すると必要な支援や手続きをスムーズに進められるため、積極的に利用しましょう。
複数事業所の利用をセルフプランで検討する場合は、自治体へ「事業所間連携加算確認書」を提出し、「コア連携事業所」を選定してもらうと、事業所間の情報共有や連携がスムーズに行われるケースがあります。
こうした手続きを事前に理解しておくと、お子様も保護者も安心できる効率的な利用環境を整えられます。
お子様が楽しめるか?「居場所」作りの視点も大切に
放課後等デイサービス選びでは、お子様にとって安全・安心で自分らしく過ごせる「居場所」であるかを重視しましょう。
単なる学習や療育の場ではなく、心身ともにリラックスできる環境であることが、お子様の自己肯定感や社会性の育成に繋がります。
また、地域社会への参加・包摂(インクルージョン)が進められているか、放課後児童クラブや児童館、地域住民との交流が積極的に行われているかも確認が必要です。
社会活動に参加可能な支援を重視する事業所を選び、学校や家庭とは異なる地域の一員としての役割を実感させると、複数事業所を利用する場合でもお子様が安心して過ごせる環境を整えられます。
まとめ
放課後等デイサービスは、お子様の発達支援を目的とした複数の事業所の掛け持ち利用が可能です。
世帯所得に応じた月額上限額が設定されており、併用しても自己負担が上限を超える心配はないため、安心して複数の事業所を活用できます。
複数利用すると、さまざまな療育プログラムや体験活動に触れられ、相談できる専門スタッフの数も増えるなど、多くのメリットを得られます。
一方で、お子様への負担や手続き上の注意点もあるため、事前の確認や計画が欠かせません。
最も大切なのは、お子様の状況や意見を尊重し、無理なく最適な支援を受けられる環境を選ぶことです。
疑問や不安をお住まいの自治体や各事業所に積極的に相談すると、お子様が安心できる「居場所」を一緒に見つけられます。
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