事業計画書とは、事業の目標や戦略、財務計画などをまとめた重要な書類です。
放課後等デイサービスを開業・運営する上で、事業計画書の作成は欠かせません。
✅ 事業計画書の主な役割
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指定申請時に提出が求められる(福祉事業の許可取得に必須)
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融資申請の際に、金融機関へ事業の将来性を示す
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中長期的な経営戦略を明確にし、安定した運営を行うための指針となる
特に、放課後等デイサービスの開業を検討している方にとって、事業計画書は成功のカギを握る重要なステップとなります。
この記事では、放課後等デイサービスにおける事業計画書の書き方をわかりやすく解説します!
1. 放課後等デイサービスの事業計画書が必要な3つの理由
放課後等デイサービスを開業・運営するにあたり、事業計画書の作成は欠かせません。
ここでは、事業計画書が必要とされる3つの主な理由について解説します。
📌 ① 指定申請に必要
放課後等デイサービスを開業するには、自治体に指定申請を行い、事業者指定を受ける必要があります。
📌 事業計画書の役割
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指定申請時に提出が求められる重要な書類
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事業の概要や経営方針を示すため、審査の判断材料となる
✅ ポイント
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申請書類の一部として、各自治体の指定様式に沿った事業計画書を作成する
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開業予定地の自治体の最新情報を確認し、適切な内容を盛り込む
📌 ② 融資申請に必須
開業資金を調達する際、金融機関や投資家が融資判断を行う重要な資料が事業計画書です。
特に、資金の返済能力や事業の収益性を評価するために活用されます。
📌 審査のポイント
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どのような戦略で収益を上げるのか(サービスの強み・ターゲット層)
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いつまでに投資回収を行うのか(具体的な収支計画)
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安定した経営が可能かどうか(リスク管理・市場分析)
✅ ポイント
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収支計画は詳細に作成し、開業後の安定運営が見込める内容にする
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金融機関に対して説得力のあるデータを示す
📌 ③ 事業の方向性を明確にする
事業を成功させるには、収益を上げながら安定した経営を続けることが不可欠です。
事業計画書は、開業時の指針となるだけでなく、継続的な経営管理にも役立ちます。
📌 活用のポイント
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開業前:綿密な計画を立て、経営の見通しを把握
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開業後:定期的に計画と実績を比較し、改善策を検討
✅ ポイント
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計画通りに進んでいるか定期的に見直し、必要に応じて修正する
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市場の変化や利用者ニーズを反映しながら、経営戦略を柔軟に調整する
まとめ
放課後等デイサービスの事業計画書は、以下の3つの目的で非常に重要な役割を果たします。
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指定申請の際に必要(自治体の審査において必須の書類)
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融資申請時に事業の信頼性を示す(資金調達の可否を左右する)
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事業の方向性を明確にし、継続的な経営管理に役立つ
適切な事業計画書を作成することで、スムーズな開業・安定した運営につながります!
2. 放課後等デイサービス:事業計画書書き方ガイド
放課後等デイサービスの事業計画書には、事業の方針や人員配置、収支予算など、運営に必要な情報を詳しく記載する必要があります。
ここでは、事業計画書の作成手順を順を追って説明します。
📌 ① 事業の方針
事業の基本方針や運営理念を明確に記載します。
📌 記載するポイント
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どのような支援を提供するのか?(例:発達支援・社会性の向上・レスパイトケア など)
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事業を通じて目指すゴールは何か?(例:保護者支援の充実・地域との連携 など)
✅ ポイント
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放課後等デイサービスは、児童本人への支援だけでなく、家族の負担を軽減する「レスパイトケア」も大きな役割を担う。
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施設の理念や支援の方向性を、利用者や関係者に伝わりやすいように明確にする。
📌 ② 従業員の配置(人員基準)
放課後等デイサービスでは、人員基準が定められており、適切な職種・人員を配置する必要があります。
また、申請時の附表(人員配置表)と整合性が取れていることが重要です。
📌 人員基準(最低配置人数)
職種 | 配置要件 | 必要資格 |
管理者 | 1名以上(他業務との兼務可) | なし |
児童発達支援管理責任者 | 専任・常勤で1名以上 | 研修修了+実務経験 |
児童指導員 or 保育士 | 障害児10名まで:2名以上 | 児童指導員・保育士資格 |
機能訓練担当職員 | 必要に応じて配置 | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員(臨床心理士、公認心理士等) |
✅ ポイント
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申請時の書類と矛盾がないように、人員配置を計画的に記載する。
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人員基準を満たしていないと指定申請が認可されないため、配置要件を厳守することが重要。
📌 ③ 契約利用者予定数
開業後1年間の見込み利用者数を記載します。
📌 利用者数を算出する方法
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地域の統計データを活用(例:特別支援学級・特別支援学校の在籍児童数)
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自治体の障害福祉課や児童相談所にヒアリングを行う
📌 ④ サービス提供予定利用者延べ数
1ヶ月あたりの利用者の延べ人数を記載。
収支予算書と数値が一致していることが重要。
✅ ポイント
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利用者数の見込みは実際の収益計画の根拠となるため、慎重に検討する。
📌 ⑤ 収支予算書の作成
事業計画書の中でも、収支予算書は融資や経営計画において最も重要なパートです。
📌 記載すべき内容
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利用者見込数
1日の平均利用者数を算出し、開業予定地の状況に基づいた数値を記載。 -
開所日数
一般的には月曜〜土曜の週6日開所する施設が多い。
定休日の設定は事業所ごとに任意で決定可能。 -
月延べ利用者数
利用者見込数 × 開所日数 で算出。 -
収入(通所給付費)の算出
通所給付費 = (基本給付 + 児童発達支援管理責任者専任加算 + 各種加算) × 級地加算
✅ ポイント
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初月の給付費は翌々月に入金されるため、開業後2ヶ月間の運転資金を確保することが重要。
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給付費9割・自己負担1割が原則だが、利用者の負担上限や自治体の軽減措置により割合が変動するため、注意が必要。
📌 ⑥ 支出の計算
事業所の運営にはさまざまな経費がかかるため、支出項目を正確に記載する。
📌 主な支出項目
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人件費
(職員の給与・賞与・社会保険料 など)
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旅費・交通費
(送迎用車両の燃料費・駐車場代 など)
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通信費
(電話・インターネット回線 など)
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諸経費
(施設の維持管理にかかる費用)
📌 諸経費の具体例
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保険料(施設賠償責任保険など)
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消耗品費(教材・文房具・衛生用品 など)
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光熱費(電気・水道・ガス)
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車両管理費(送迎車両のリース代・整備費)
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研修費(職員のスキルアップのための研修 など)
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広告宣伝費(チラシ・ウェブ広告)
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租税公課(固定資産税・事業税)
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リース代(設備・家具などのリース費用)
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燃料代(送迎車両のガソリン代)
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返済金(融資の返済)
✅ ポイント
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事業計画の収益と支出のバランスを考え、利益を確保できる予算を設定する。
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収入合計から支出合計を差し引いた金額が、手元に残る利益となる。
まとめ
放課後等デイサービスの事業計画書を作成する際は、以下のポイントを押さえましょう。
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事業の方針を明確にし、運営の目的を記載する
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人員基準を満たした職員配置を計画する
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利用者の見込み数を根拠に基づいて算出する
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収支予算書を正確に作成し、経営の安定性を示す
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支出項目を整理し、適正な予算を組む
計画的に事業計画書を作成することで、スムーズな開業・安定した運営が可能になります!
3、放課後等デイサービスの事業計画書作成時の注意ポイント
放課後等デイサービスの事業計画書を作成する際は、以下の6つのポイントに注意しましょう。
正確な計画を立てることで、開業後のスムーズな運営と事業の成功につながります。
📌 ① 顧客獲得(利用者確保の戦略)
✅ 事業計画書には契約予定者数や延べ利用者数を記載するため、利用者の獲得戦略を明確にすることが重要です。
📌 検討すべきポイント
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ターゲット層の明確化(例:軽度発達障害児向け/重度障害児向け など)
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利用者ニーズの把握(特に、重度障害児向けの事業所は不足している傾向)
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集客の方法(例:関係機関への営業、ウェブ集客、SNS活用 など)
✅ ポイント
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開業エリアの競合状況を分析し、差別化ポイントを明確にする。
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特定の障害特性に強みを持つ事業所のニーズが高まっているため、自社の強みを明確に打ち出すことが重要。
📌 ② 報酬制度の理解(収入の仕組み)
✅ 放課後等デイサービスの主な収入源は給付費です。報酬体系を正しく理解し、収入のシミュレーションを行いましょう。
📌 検討すべきポイント
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基本報酬 + 加算の種類と要件を整理(例:児童発達支援管理責任者加算・送迎加算 など)
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1人あたりの平均報酬単価を試算し、事業全体の収益を計算
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自治体ごとの加算要件や算定ルールの違いを確認
✅ ポイント
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加算を活用することで収益を最大化できるため、事業計画段階で加算の要件を確認しておく。
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報酬制度は定期的に改定されるため、最新情報を常にチェックする。
📌 ③ 損益分岐点の検討(収支バランスの把握)
✅ どの事業でも、損益分岐点(収益が支出を上回るポイント)の把握は非常に重要です。
📌 検討すべきポイント
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月間の必要収益と最低限必要な利用者数を算出する
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固定費(家賃・人件費・リース代など)と変動費(消耗品費・送迎費用など)のバランスを把握
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設備投資(物件改装・リフォーム)の費用負担と返済計画を事前に検討
✅ ポイント
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設備投資を行う場合、返済額が固定費に含まれるため、キャッシュフローを考慮した計画が必要。
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赤字にならないために、最低限必要な利用者数を明確に設定する。
📌 ④ 当面の運転資金の確保(開業直後の資金繰り)
✅ 開業後、最初の給付費が入金されるのは通常「開業2ヶ月後」です。
そのため、少なくとも2〜3ヶ月分の運転資金を確保しておくことが重要です。
📌 準備すべき資金の例
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家賃・光熱費・通信費(固定費)
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人件費(給与支払い)
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消耗品・備品購入費
✅ ポイント
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給付費が入金されるまでの期間を考慮し、最低2ヶ月分の運転資金を準備する。
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開業初期は利用者数が安定しないため、余裕を持った資金計画を立てる。
📌 ⑤ 競合他社の把握(市場分析と差別化戦略)
✅ 近年、放課後等デイサービス事業所の数は急増しています。
そのため、競合との差別化が重要となります。
📌 検討すべきポイント
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開業エリアの競合施設の数を調査(自治体の福祉課などの公表情報を活用)
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自社の強みを明確にする(例:専門プログラムの導入・個別支援の充実 など)
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提供するサービスや支援内容を具体化し、競合との差別化ポイントを明確にする
✅ ポイント
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「どのような障害児に強いのか」「どんな支援プログラムを提供するのか」など、事業の特色を明確に打ち出す。
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他施設にはない独自の強みを活かし、利用者のニーズに応える戦略を立てる。
📌 ⑥ 制度の動向把握(報酬改定と業界の変化に対応)
✅ 放課後等デイサービスの報酬は、数年ごとに見直されます。
また、急増する事業所に対して総量規制(新規開設の制限)などの可能性もあるため、制度の動向を把握しておくことが重要です。
📌 チェックすべきポイント
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障害者総合支援制度の改定スケジュールを確認
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報酬改定による加算の変更点を把握(新設・廃止・金額変更 など)
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総量規制の可能性(国や自治体の施策による新規開設の制限)
✅ ポイント
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報酬改定の影響を事業計画に反映し、持続可能な経営を目指す。
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事業所の収支を定期的に見直し、制度変更に柔軟に対応できるよう準備する。
まとめ
放課後等デイサービスの事業計画書を作成する際は、以下の6点に注意しましょう。
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顧客獲得戦略を明確にし、ターゲット層を設定する。
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報酬体系を理解し、収益シミュレーションを行う。
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損益分岐点を算出し、安定した運営計画を立てる。
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開業直後の運転資金を確保し、資金ショートを防ぐ。
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競合分析を行い、独自の強みを打ち出す。
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制度改定に対応し、持続可能な経営を目指す。
✅ 計画的に事業計画書を作成し、競争が激化する市場の中で成功する事業運営を実現しましょう!
4、まとめ:放課後等デイサービスの事業計画書の重要性
放課後等デイサービスの事業計画書は、単に指定申請時に必要な書類というだけではありません。
経営の見通しを立て、開業後の安定した運営を支えるための重要な指針となります。
✅ 事業計画書が果たす3つの役割
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指定申請時に必須の書類
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☑️ 事業開始の許可を得るために、自治体へ提出する必要がある
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経営の指針となる
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☑️ 収支計画や利用者見込みを明確にし、事業の方向性を定める
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開業後の経営判断に役立つ
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☑️ 事業計画をもとに定期的に見直し、適切な経営判断を行う
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✅ 事業計画書作成の重要ポイント
📌 利用者数の予測と収支予算の作成は慎重に!
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実際の利用者数や稼働率を正確に見積もることで、経営の安定につながる
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開業エリアのニーズを調査し、競合との差別化を明確にする
📌 制度や報酬体系を理解し、経営の安定化を図る
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障害福祉サービスの報酬体系や加算の仕組みをしっかり把握する
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収入の大半が給付費であるため、制度改定の影響を常にチェック
📌 競合分析と自社の強みの明確化が成功の鍵
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開業エリアの競合施設を調査し、他社と差別化できるポイントを打ち出す
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「どのような支援に特化するのか?」「どんな特徴を持つ事業所にするのか?」を明確にする
🔍 事業計画書の活用で、継続的な成功を目指そう!
事業計画書は「作成したら終わり」ではなく、継続的に活用すべき経営ツールです。
開業後も定期的に見直し、実際の運営状況と照らし合わせながら、必要な調整を行いましょう。
✅ 明確な計画を立て、経営の見通しをしっかり持つことが、事業成功への第一歩です!